日曜の30日夜、東日本を襲った台風17号。首都圏に激しい風雨をもたらしながら北日本に進んだ。交通機関が乱れ、都心のターミナル駅ではバスやタクシーを待つ人で一時あふれた。
「大阪へ飛行機で帰ろうと思っていたけど、乗れなくなったので急きょ来ました」。30日午後9時すぎ、JR東京駅八重洲南口で高速バスを待っていた公務員北本友梨恵さん(23)は両手に土産を持って話した。
空の便は日本航空と全日空の国内線約450便が欠航し、約7万3千人に影響が出た。北本さんは週末を利用して東京観光に来ていたといい、「月曜も仕事があるので何とか間に合ってほしい」。東京駅では新幹線の車両が宿泊用に開放された。
鉄道では東北、山形、秋田、上越、長野の各新幹線で間引き運転が実施され、JR、私鉄とも強風による運転見合わせが相次いだ。
東急東横線の運行が一時見合わされ、タクシー乗り場で長蛇の列ができた渋谷駅。午後11時ごろ、主婦石川節子さん(68)は「1時間近く待っています。風が強いので看板が飛んでこないか心配」。JR静岡駅前でタクシーを待つ会社員女性(35)=静岡県焼津市=は三重県から約9時間かかってたどり着いた。「台風で観光も出来なかった。もう疲れました」と話した。
相模原市のJR中央線高尾―相模湖間では、普通電車が架線にかかっていた倒木と接触。自力走行できなくなり、乗客約200人が4時間半缶詰めになった。JRが用意したバスで甲府方面に向かったという。9月下旬に神奈川県横須賀市で電車が土砂に乗り上げて脱線した京浜急行電鉄は、沿線に土砂崩れ警戒のための職員を配置した。
強風による事故も相次いだ。神奈川県藤沢市では午後9時前、引っ越しの荷物を運んでいた作業員男性(46)が4トントラックと建物の間に挟まれて重傷を負った。男性は「風で車が動いた」と話したという。浜松市でも強風にあおられてトラックが横転し、運転手の男性は「突然ぐらぐらと横揺れして倒れた」。千葉県館山市でも男性(84)が転倒、頭に重傷を負った。
浜松市では一時、30世帯35人が自主避難した。土砂災害を警戒した高齢者が多いという。焼津市では浸水被害も発生。自宅前の道路が冠水し、土嚢(どのう)で防ぎきれなかった無職女性(73)は「水がひざ下まで上がってきて怖かった」と語った。
東京電力によると、1日午前0時すぎ時点で約1万8千世帯が停電。東電福島第一原発では、放射能汚染水漏れや建物への雨水流入を防ぐ対策が講じられた。東電によると、屋外の配管や資機材などが強風で飛散しないようにロープで固定するなどした。