セアカゴケグモのメス。背中の赤い模様が特徴だ=名古屋市港区、山吉写す
セアカゴケグモが生息する側溝で駆除作業をする業者=名古屋市港区
外来種の毒グモ「セアカゴケグモ」が、東海地方に生息域を広げている。すでに名古屋港や四日市港、その周辺部には定着しているとみられ、住宅地にも迫っている。命にかかわる恐れのある毒を持ち、大阪では市民の被害も出ているが、国や自治体の防除態勢が追いついていないのが実情だ。
広大な土地に工場やタンクが立ち並ぶ名古屋市港区の工業地帯。駆除会社の社員たちが側溝の金属格子を次々と持ち上げ、ライトを当てる。鉄骨や側溝の陰に、不規則な形の巣を張ったメスのセアカゴケグモがいた。黒い体で、背中にネクタイのような形の赤い模様がある。社員は薬剤を吹きかけ、処理した。
東海地方では、国営木曽三川公園や中部空港、名古屋港金城ふ頭などで見つかったことが知られている。愛知県や名古屋市は、発見場所や数をホームページで公表しているが、保健所を通じて把握できたものに限られる。「企業や個人が通報する義務はなく、全体的な広がりまでは把握できない」(愛知県健康対策課)という。
駆除業者による愛知県ペストコントロール協会の大橋武定専務理事は「伊勢湾を取り巻く国道23号、247号周辺までほぼ定着していると考えられる。三重県桑名市では住宅地でも目撃され、目立つ模様から子どもがうっかり触るのではと心配だ」と話す。
東海3県では、人的被害はまだ報告されていない。しかし、95年に全国で初めてセアカゴケグモが確認された大阪府では、今年の被害は12件。庭の掃除中や、庭先に置いたスリッパを履いた時にかまれることが多い。臨海部だけでなく、新興住宅地でも重機や建材に紛れ込んで侵入しているという。