待ち望んで授かった宝物という思いを込め、両親は次女に「玻南(はな)」と名付けた。だが、区役所は戸籍法の定める文字に当たらないとして出生届を受理せず、裁判所も申し立てを退けた。玻南ちゃんは戸籍がないまま、1歳を迎えようとしている。両親は4日、最高裁の判断を聞きたいと、不受理の取り消しを求めて抗告した。
「この字は使えません」。昨年12月上旬、名古屋市東区の医師矢藤仁さん(40)は、出生届を出すため訪れた区役所で告げられた。
戸籍法は「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」と定める。施行規則で常用漢字、別表に掲げた漢字、ひらがな、カタカナのいずれかと規定しており、「玻」は含まれていない。
妊娠を知った直後から考え続けた名前だった。どうしても2人目の女の子が欲しいと願っていた。長女は「瑠都(るつ)」。母の清恵さん(38)は「瑠璃(るり)の『瑠』がよくて、玻璃(はり)の『玻』がだめなんて」という。ともに宝物、美しいものという意味があり、姉妹でこれ以上ない名前だと思った。
両親は名古屋家裁に不服を申し立てた。戸籍法施行規則に含まれていなくても「社会通念上、明らかに常用平易」とされれば受理される可能性がある。「曽」や「獅」が認められたケースもある。
だが、名古屋家裁は今年1月、申し立てを却下。あきらめきれず、名古屋高裁に即時抗告した。「明らかに常用平易」なことを示そうと、資料を集めた。
電話帳をめくって名字に「玻」の字が含まれる人を探し、日常生活で不都合があるかを聞いた。携帯電話の変換機能で何番目に出てくるかを調べ、同法施行規則が定める文字と比較。児童向けの図書にも使われていることを見つけ出し、段ボール1箱分の資料を高裁に提出した。