市橋容疑者の身柄が確保されたフェリー乗り場の待合室=10日午後8時52分、大阪市住之江区、小玉重隆撮影
怪しい男がいる――。市民の通報が追いつめ、2年7カ月余の逃亡劇は、沖縄行きのフェリーを待つ夜の港で幕がおりた。英会話講師リンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22)の遺体を遺棄した容疑で市橋達也容疑者(30)が10日、大阪市で逮捕された。事件の急展開の報に、遺族らは胸をなで下ろした。
10日午後11時58分。深夜のJR東京駅新幹線ホームに市橋容疑者が降り立った。
黒いジャンパーをすっぽりとかぶり、表情はうかがえない。周囲を囲んだ捜査員が、殺到する報道陣をかき分けるようにして進んだ。
同駅日本橋口には、数百人の群衆が詰めかけた。「市橋!」と怒声が飛ぶ。もみ合うようにしながら止められた車に乗り込み、捜査本部が置かれている千葉県警行徳署へ。11日午前0時40分に到着した。
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逃亡を図った市橋容疑者。だが、新たな手配写真に載せられた顔立ちは、無数の人々の目に焼き付いていた。
大阪府警に110番通報が入ったのは、10日午後6時44分だった。
「フェリー乗り場に、市橋容疑者に似た男がいる」
通報したのは、大阪市住之江区の大阪南港フェリーターミナルのマルエーフェリー社員。サングラスをかけ、待合室に約1時間座っていた男に「これは怪しい」と感じた。
通報したフェリー社員には不審な男の情報が事前にもたらされていた。
市橋容疑者が神戸市東灘区の六甲アイランドにあるマルエーフェリー神戸事務所を訪れたのは、同日午後1時半ごろだった。
沖縄行きのフェリーはこの日は神戸発ではなく、大阪南港発だったため、神戸事務所の職員は「乗るなら南港に行ってください」と案内した。職員はこの時、男の鼻に整形跡と見られる傷があったことに気づいた。