海上保安庁の警備救難艇で救助された乗組員ら=13日午前10時15分、三重県熊野市沖、朝日新聞社ヘリから、飯塚晋一撮影
激しい波が打ち寄せる七里御浜沖で横倒しになったフェリー=13日午後、三重県御浜町、岩下毅撮影
三重県熊野市沖で13日朝、東京から鹿児島に向かうフェリー「ありあけ」(7910トン)が横波を受け、その後座礁、横転した事故で、救助された松元浩人船長(49)は会見で「一発の波で大きく傾いてしまった。それに伴って荷崩れが起きた」と述べ、大きな横波を受けて船体が傾いたまま、傾きを戻すことが出来なかった状況を明らかにした。
この事故で、乗客7人と乗組員21人のうち、乗客の東京都調布市の男性(70)と乗組員(42)が頭や肩などに軽いけがをした。この乗組員を含め、運航するために残り、横転の直前に海に飛び込んだ乗組員7人が海上に流出した油を飲み込み、検査入院した。
最後まで船に残った松元船長ら乗組員7人は同日午後、尾鷲海上保安部(同県尾鷲市)で会見。松元船長は時折、声をつまらせながら「人命が損なわれなかっただけでも、良かった」と話した。
松元船長によると、順調な航海が暗転したのは13日午前5時10分ごろ。目を覚ました直後、突然、船体が大きく右に傾いたという。「荒天対策で普段は4方向の積み荷の固定を、6方向に増やした。それでも荷崩れが起きた」
同保安部によると、当時、付近は約4メートルの波があったが、松元船長は、異なる方向の波がぶつかって出来る巨大な「三角波」に襲われた可能性があると語った。
船の傾きで、操船中も壁に向けて体が落ちそうになり、支えるのが精いっぱい。乗客を避難させた後、7人も救命ボートに乗ろうとしたが、傾斜に耐えきれず、海に飛び込んだ。松元船長は「何とか呼吸ができていたので、救助まで『大丈夫だよ』と励ましあった」と振り返った。