「この色もいいわね」。似合う色が見つかると患者は笑顔になる=川崎市の「しんゆりリボンズハウス」、福岡亜純撮影
同様の「リボンズハウス」は、NPOに賛同した病院にも設けた。鹿児島や千葉、青森などにあり、今年中に約10カ所に増える予定だ。
NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会(東京都品川区)は、がん患者がかつらのおしゃれを楽しめる仕組みを整えた。代表理事の河野愛一郎さん(53)の妻は、04年に乳がんの治療をした。「抗がん剤で脱毛する前のヘアスタイルに近づけたい」「脱毛中と、新しい毛髪が生えてきたときとで、サイズが変わる」。悩みを知り合いの美容師に持ちかけ、06年に協会を始めた。
サイズ調整やカットができるかつらを作り、美容師の研修を重ねた。協力する美容師がいるヘアサロンは、関東を中心に約25軒に増えた。店でオリジナルのかつらを約12万円で販売。1年間、好みに合わせて、カットしてもらえる。千人ほどが利用した。
企業も動き出した。資生堂(東京都中央区)は、昨年から日本対がん協会の美容セミナーに協力している。
初めに美容スタッフが患者の悩みに耳を傾ける。抗がん剤の副作用で眉が抜けた場合、もとの形や位置を聞きながら、描き方を丁寧にアドバイス。色つきの下地を使って顔色をよく見せる方法も。このほか、患者会や病院に依頼され、出向くこともある。
がん患者の心のケアをする精神腫瘍医、大西秀樹さん(埼玉医大)は「政府はがん対策推進基本計画で精神的なケアも進めているが、おしゃれの支援は心のケアにも通じる。まず、患者にとって身近な場である病院で、支援を始めてほしい」と提案する。(荒香帆里)