【石塚広志、中山由美】南極観測船「しらせ」に搭載する大型輸送ヘリコプターの運用が、検査の遅れや修理の長期化で滞っている。財政難で十分な予算が確保できないためだ。昭和基地周辺はここ数年、氷が厚いため接岸できず、ヘリは昭和基地への物資輸送の「命綱」。南極の観測事業に影響が出始めている。
ヘリは海上自衛隊が運用し、先代「しらせ」は3機態勢で、2機を南極に送り、1機は修理したり訓練に使ったりしていた。だが国の財政難で予算が確保できず、2009年就航の新「しらせ」からは2機態勢を強いられている。南極事業の関連省庁の予算をまとめて財務当局に要求している文部科学省によると、2機の購入費は126億円。
このうち1機は10年に定期検査時期を迎えたが、検査予算も8割しか確保できずに検査が遅れ、昨年出発の53次隊は1機態勢に。検査で回転翼の軸部分の破損が判明し、改修に半年要するため、今月出発した54次隊も1機態勢となった。修理中のヘリは来年の55次隊には復帰できる見通しだが、もう1機が定期検査を迎えるため、1機態勢が続く可能性があるという。