【大久保泰】甲信越地域と静岡県内には、火山噴火予知連絡会が「監視・観測体制の充実が必要」とする火山、火山群が九つある。現在はいずれも「平常」だが、過去には大きな被害を出した。噴石や降灰、火砕流に山体崩壊など多様な災害をもたらしている。
山梨・静岡県境にある富士山(3776メートル)では1707年、南東斜面で爆発的な噴火が発生した。現在の静岡県小山町周辺に大量の噴出物が降り注ぎ、噴火地点に近い村は壊滅状態になったとされる。16日間にわたる噴火で、江戸にも火山灰が2〜5センチ積もったとされる。
この宝永噴火の49日前、マグニチュード(M)8.6の宝永地震が発生していた。昨年の東日本大震災直後の3月15日には、富士山直下でマグニチュード(M)6.4の地震が発生し、富士山の火山活動が注目された。その後、地震活動は低下した。
火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長によると、富士山はこの3200年間に100回噴火している。割合では32年間に1回だ。「若い火山だけに、このまま噴火がなくなるとは考えにくく、いつ来てもおかしくない。マグマがたまり、大規模な噴火になる恐れもある」と対策を急ぐように訴える。
国は2004年、宝永噴火と同規模の噴火があった場合を想定したハザードマップを作った。静岡、山梨、神奈川の3県は山麓(さんろく)の自治体などと共に今年6月、対策協議会を発足。今年度中に広域避難計画をまとめ、14年度には初めての合同訓練を実施する計画だ。
浅間山(2568メートル)も度々大きな噴火を起こしてきた。最大の被害は1783年の天明の大噴火だ。浅間山の北斜面で大規模な土石なだれが発生。吾妻川を塞ぎ、その後決壊して集落を襲った。死者は千人を超えたとされる。
最近では2004年9月に21年ぶりに爆発。南東の長野県軽井沢町には多量の降灰があり、火山灰は東京都心でも観測された。
新潟県西部にある新潟焼山(やけやま=2400メートル)では1974年7月28日、山腹の割れ目で水蒸気爆発が発生。火山灰は北東約100キロまで飛び、泥流が発生した。噴石で、山頂付近でキャンプをしていた登山者3人が死亡した。
長野・群馬県境にある草津白根山(2171メートル)では76年に小規模な水蒸気爆発があった後、滞留した火山ガスで登山者3人が死亡する災害も起きている。
長野・岐阜県境の御岳山南麓(ろく)で発生した84年の長野県西部地震(M6.8)では、大規模な山体崩壊が発生。岩屑なだれが下流の村に達し、29人が死亡した。もろい火山噴出物が堆積(たいせき)し、崩壊しやすい火山の危険性をみせた。
気象庁はこれらの火山には地震計や傾斜計、空振計や全地球測位システム(GPS)、遠望カメラを設置して、24時間態勢で監視を続けている。火山警戒レベルが導入された火山では、活動状態に合わせて警戒レベルを1(平常)〜5(避難)で示し、警戒を呼びかける。