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15歳 存在自体が戦力

2010年3月1日17時3分

 祭りの終わりの名残を惜しむように、バンクーバーのダウンタウンは、身動きもままならないほどの人でごったがえしている。

 日本は銀メダル3個、銅メダル2個でこの五輪を終えた。メダルの数に拘泥したくないが、最も金メダルに近かったのは女子団体追い抜きだろう。

 この種目にはひとつの「カギ」があった。チームは4人。試合に出場するのは3人。選手を入れ替えてもいいが、日本は、穂積雅子、田畑真紀、小平奈緒の3人で戦った。15歳の高木美帆1人が、試合に出られなかった。カルガリー合宿から調子を落とした。中学生には長すぎる海外合宿だったに違いない。1000メートルは最下位、1500メートルも23位だったから、当然の人選だろう。

 しかし、高木は重要な戦力だったのだ。昨年12月の選考会。1500メートルに勝利し、シンデレラのようなデビューを果たし、五輪代表に選ばれた。先輩3人の気持ちは複雑だった。高木が団体追い抜きに出たら、自分が出られなくなる可能性があった。

 高木はチームの「触媒」となったのだろう。高木がいなければ、この好成績はなかったかもしれない。試合後、3人が銀メダルを15歳の少女にかけたのは、そんな意味合いがあった。「触媒」というのは適当でないかもしれない。高木自身の中でも、化学変化が起きていた。「自分はまだメダリストにならなくてよかった。ソチ五輪につながるのかなと思う」。五輪への思いが強くなった。

 逆に競技を去る選手もいる。45歳、スケルトンの越和宏だ。「おれみたいなおっさんが、頑張っていて、それを見ている人も頑張ろうと思ってくれたらうれしい」。マイナースポーツを引っ張ってきた。「でも、もう限界値。次の世代に受け継いでいくのが使命」。指導者の道に進む。

 この五輪で全く競技から遠ざかり、日常にもどっていく選手も数多くいるだろう。

 祭りが終わっても、それぞれの人生は続いていく。五輪は出場した選手にとっても、テレビを含めて観戦した人々にとっても、勇気をもらえる「触媒」だった。

 今日、聖火は消える。が、人々の生活にエンドロールは出ない。(編集委員・西村欣也)

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メダル獲得ランキング

(日本時間)03月01日(月)07時58分現在

順位 金メダル 銀メダル 銅メダル
1 国旗カナダ 14 7 5
2 国旗ドイツ 10 13 7
3 国旗米国 9 15 13
4 国旗ノルウェー 9 8 6
5 国旗韓国 6 6 2
20 国旗日本 0 3 2
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