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2012年4月26日
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トラファルガー広場にも…「パブリック・アート」の楽しみ

文と写真:マクギネス真美

写真:現在、「第四の台座」にあるのがこの’PowerlessStructures Fig.101’拡大現在、「第四の台座」にあるのがこの’PowerlessStructures Fig.101’

写真:’PowerlessStructures Fig.101’が一般公開される前日の夜、オープニングのための準備が進められていた。拡大’PowerlessStructures Fig.101’が一般公開される前日の夜、オープニングのための準備が進められていた。

写真:夜になると作品はライトアップされる。拡大夜になると作品はライトアップされる。

写真:2005年9月から2007年10月まで展示されていた’Alison Lapper Pregnant’拡大2005年9月から2007年10月まで展示されていた’Alison Lapper Pregnant’

写真:2007年11月から2009年5月まで展示されていた’Model for a Hotel’拡大2007年11月から2009年5月まで展示されていた’Model for a Hotel’

写真:2010年5月から2012年1月まで展示されていた’Ship in a bottle’拡大2010年5月から2012年1月まで展示されていた’Ship in a bottle’

 ロンドンオリンピックまでのカウントダウンを告げる時計が設置されているトラファルガー・スクエアは、普段から観光名所として多くの人が訪れる場所だ。

観光名所にある「第四の台座」

 そこには有名なネルソン提督の像をはじめ、それを取り囲む四つのブロンズ製ライオン像、そして、広場の四隅には彫像が飾られている。ただ、北西にある「第四の台座(Fourth Plinth)」と呼ばれる場所には、現在、他の三つの台座に置かれた人物像とはかなり趣を異にするものが置かれている。木馬に乗った子どもの像だ。

 'PowerlessStructures Fig.101'と題されたこの彫刻は、デンマーク出身のマイケル・エルムグリーン(Michael Elmgreen)とノルウェイ出身のインガー・ドラッグセット(Ingar Dragset)というアーティストの手によるもので、今年の2月23日にこの場所に設置された。

 「第四の台座」は、1841年にウィリアム4世(William IV)の像が置かれる予定で作られたのだが、資金不足のために実現せず、以後、ずっと何も飾らないままにされていたという。それが、1998年になって、3人の現代アーティストの作品を展示する、という試みがなされ、一般の人々からの好評を得た。それを継続する形で、2005年以降、この場所には、インパクトのあるモダンアート作品が設置されるようになったという経緯がある。

賛否両論のモダンアート作品

 個人的に最も印象に残っているのは、2005年9月に登場した、マーク・クイン(Marc Quinn)による『アリソン・ラッパー・プレグナント(Alison Lapper Pregnant)』という作品だ。

 生まれつき四肢の短いアリソン・ラッパーという女性(彼女自身もアーティスト)の、妊娠時のヌード姿を彫刻にしたもので、展示されていた当時は、「世界中から人が集まるトラファルガー・スクエアに、そのような作品を展示すべきではない」といった批判の声もたくさん出たと聞く。それに対して、マーク・クインはたしか「障がいのある人を描いた彫刻が公共の場所に飾られている例はほとんどないと思われているかもしれないが、トラファルガースクエアには、右腕を切断して失っているネルソン提督の像がすでに広場の中心に据えられている。」と反論をし、「男性の像ばかりが置かれている場所に、女性らしさが必要だと思った」というようなことを語っていたと記憶している。

 気高く、凛とした雰囲気の漂う彫像だった。

パブリックアートはロンドン名物のひとつ

 そして、今回の’PowerlessStructures Fig.101'は、東隣にあたる台座に飾られた猛々しい騎馬像に対抗するかのような、子どもの姿。その子どもは、馬は馬でも、揺れる木馬に乗っている。これもまた、アーティストの目論みが感じられる作品だ。

 彫刻のサイズは、長さ4.11メール、高さ4.32メートル、重さは3.1トンで、相当大きいのだが、広場にあふれかえるほどの観光客がいても、じっくりと見上げている人は、あまり見かけない。それよりはライオン像にまたがって、カメラに向かってポーズを取っている人のほうが圧倒的に多い。人間の目線よりもかなり高い位置にあることと、ガイドブックなどには載っていない場合が多いということも関係しているのかもしれない。

 でも、このようなパブリックアートが、市の中心部、観光客が最も多く集まるところに置かれるところが、ロンドンらしさのひとつでもある。

 オリンピック開催中は、この広場でさまざまなイベントも行われるはずなので、せっかくなら、第四の台座にも、ぜひ目を向けてみてはいかがだろう。

プロフィール

マクギネス真美さん プロフィール画像

マクギネス真美(まくぎねす・まみ)
9年半の雑誌編集者時代を経て2003年渡英。共著『ハッピーハッピーロンドン』(双葉社)。「ダ・ヴィンチ電子ナビ」では電子書籍のレビューをしている。辛抱を強いられる公共交通機関、街中のおかしな看板や不思議な食べ物など「イギリスの実態」を、おもしろ画像とともに自身のウエブサイトでレポート。最新情報はツイッターでもつぶやいています。
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