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2012年5月17日
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ツイッターから天気予報まで イギリス王室の宣伝戦略

文と写真:マクギネス真美

写真:BBCの番組に天気予報キャスターとして登場した英国のチャールズ皇太子。地図の中には居城のひとつがあるバルモラルの地名が見える=ロイター拡大BBCの番組に天気予報キャスターとして登場した英国のチャールズ皇太子。地図の中には居城のひとつがあるバルモラルの地名が見える=ロイター

写真:エリザベス女王の即位60年「ダイアモンド・ジュビリー」の公式サイト。中央の写真の左側にあるイラストが、公募で選ばれた少女の作品。ページの上には王室が開いているfacebookやtwitter、YouTubeなどへのリンクも拡大エリザベス女王の即位60年「ダイアモンド・ジュビリー」の公式サイト。中央の写真の左側にあるイラストが、公募で選ばれた少女の作品。ページの上には王室が開いているfacebookやtwitter、YouTubeなどへのリンクも

写真:イギリス王室公式のツイッター。フォロワーは30万人を超える拡大イギリス王室公式のツイッター。フォロワーは30万人を超える

 前回のコラムでご紹介したように、今年はエリザベス女王の在位60周年で「ダイヤモンド・ジュビリー(Diamond Jubilee)」と呼ばれる。16日からは、天皇、皇后両陛下が祝賀行事参加のためイギリスを訪問されているので、日本でもきっと、ユニオン・ジャックが各所ではためく、英国内のお祭りムードが伝わっているのではないかと思う。

イギリスで最も有名なセレブリティー

 イギリスに王室ファンが多いのか、といえば、答えは定かではない。

 「追っかけ」のようなファンはもちろんいるし、タブロイド紙やゴシップ雑誌には、ロイヤル・ファミリーの話題が必ずといっていいほど登場している。また、昨年のロイヤル・ウエディングでは、直前まで無関心を装っていたような人たちも、当日にはテレビ中継をみたり、ストリート・パーティに参加したり、と、うまく国民が巻き込まれていたように思えた。 ただ、ふだんから王室の存在自体に批判的な人がいたり、王室がパロディのネタにされるのが珍しくないのも事実。

 コメディアンやテレビ番組内でネタにされた王室関係のものというと枚挙にいとまがないが、古いところでは1984〜1996年に放映された、操り人形を使ったテレビ番組”Spitting Image”、最近では、ツイッターでクイーンを名乗るアカウント @Queen_UK などがよく知られている。

 「ロイヤル・ウエディングなんて」と言っていた人たちによれば「英国王室の話題に興奮するのは、アメリカ人やフランス人。王のいない国の人ほど憧れが強い」そうで「王室はイギリスの観光資源のひとつ」だという人もいる。

 では、王室にあまり関心がないと言う人たちが、王室がなくなっていまえばいいと思っているかと言えば、決してそれを強く望んでいるようにも見えない。それに、メディアがロイヤルファミリーのゴシップを取りあげたり、パロディのネタされる、というのも、人々が王室に興味を持っている証拠ともいえる。なんと言っても、王室メンバーは、英国では最も有名なセレブリティなのだ。

宣伝上手な英国王室

 英国王室の存在がわりと好意的に受け入れられている(ように見える)のには、パブリシティのうまさが理由のひとつに挙げられるのではないだろうか。

 たとえば、ダイヤモンド・ジュビリーのエンブレムのイラストは、国内の6〜14歳の子どもたちを対象にした一般公募で送られてきたもののなかから、10歳の少女の作品が選ばれた。また、そのイラストは、条件を守った上でなら、商業用であっても使用が許可されている。

 高い金額をブランドコンサルタント会社に支払って出来上がったロゴが、イギリス国中から大ひんしゅくを買ってしまったオリンピックとはずいぶん違うやり方だ。

 インターネットを使用した情報の発信にも熱心で、公式サイトをオープンしたのは1997年。ユーチューブ(YouTube)にチャンネルを開設したのが07年で、09年にはツイッター(Twitter)を開始。写真共有サイトのフリッカー(Flickr)と フェイスブック(Facebook)に公式ページを持ったのは10年となっている。

 ダイアナ元妃が亡くなったとき、スコットランドのバルモラル城にこもり、ダイアナ妃への追悼の意をすぐには表さなかったことから、国民が反感を覚え、当時は王室の人気が衰えたと言われた。彼女が亡くなった97年以後、積極的に情報を発信しているのは、このときに「国民を味方につけておかなければならない」ということを、王室の人々が痛感したからかもしれない。

チャールズ皇太子の天気予報

 つい最近では、チャールズ皇太子とカミラ夫人がBBCスコットランドの放送局を訪問した際、飛び入りで天気予報のキャスターとして登場したエピソードも、パブリシティー上手な王室の好例といえそうだ。準備された原稿には、スコットランドにある王室所有地の天気も特別に含まれており、皇太子は滑らかな口調でそれを読み上げ、最後にはアドリブのオチまでつけた。皇太子に続いて、カミラ夫人も同じようにキャスターにチャレンジした。

 ランチタイムにスコットランドでこれが放映されると、ツイッターなどでその話題が広がり、夕方にも同じものが放映されたという。そしてBBCのウエブサイトにその映像がアップロードされると、世界各国のニュースにも取り上げられ、大変な評判になった。この話題が世界を駆け巡った、という記事が翌日のBBCサイトに掲載されている。

 王室メンバー自らこのような行動ができるのは、さすがイングリッシュ・ユーモアの国というべきか。

プロフィール

マクギネス真美さん プロフィール画像

マクギネス真美(まくぎねす・まみ)
9年半の雑誌編集者時代を経て2003年渡英。共著『ハッピーハッピーロンドン』(双葉社)。「ダ・ヴィンチ電子ナビ」では電子書籍のレビューをしている。辛抱を強いられる公共交通機関、街中のおかしな看板や不思議な食べ物など「イギリスの実態」を、おもしろ画像とともに自身のウエブサイトでレポート。最新情報はツイッターでもつぶやいています。
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