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2012年6月1日
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ガイドつきツアーで巡るオリンピック会場周辺

文と写真:マクギネス真美

写真:リー川をバックにツアーをスタート。ガイドのアントニーさんは歴史研究家でもあるそう拡大リー川をバックにツアーをスタート。ガイドのアントニーさんは歴史研究家でもあるそう

写真:運河沿いには真新しい案内表示が拡大運河沿いには真新しい案内表示が

写真:イケアが作った聖火型タワー。右後方に小さく見えるのがオービット拡大イケアが作った聖火型タワー。右後方に小さく見えるのがオービット

写真:新設の歩道橋も地域のデザインにマッチしている拡大新設の歩道橋も地域のデザインにマッチしている

写真:オービットに近づいてきた拡大オービットに近づいてきた

写真:オービットとアクアティック・センター拡大オービットとアクアティック・センター

写真:それぞれの施設はかなり近い距離に設置されているように見える拡大それぞれの施設はかなり近い距離に設置されているように見える

 2週間ほど前までは、寒くて雨続き。夜には暖房をいれた日もあったのが一転して快晴、真夏のような暑さとなった先週末。かねてから行きたいと思っていた、オリンピック会場見学ツアー「デイリー・オリンピック・ウォーク(Daily Olympic Walk)」に出かけてきた。

参加者の多くはイギリス人

 ツアーの集合場所は地下鉄ブロムリー・バイ・ボウ(Bromley-by-Bow)駅。出発時刻は午後2時となっていたが、交通機関のトラブルが起こったときのことを考えて早めに家を出たため、到着したのは午後1時15分。早すぎたと思ったが、すでにこの小さな駅の改札口を出たすぐのところに、ガイドらしき人物が2人立っていた。

 彼らによると、今日のツアー参加者は午前中ですでに約200人。午後は150人の予定で、5人のガイドがそれぞれ30名ずつを案内するという。

 ガイドはすべて英国政府公認の印「ブルーバッジ」をつけている。担当のアントニー・マシュウズ(Anthony Matthews)さんに参加費9ポンドを支払い、他の参加者の横に並ぶ。30人が集まったところで、予定よりも早く、1時35分にツアーが始まった。

 「参加者の中で多いのは、イギリスの地方都市からやってくる人々。半数以上がそうで、あとはヨーロッパや他国からの観光客ですね」

 アントニーさんによれば、ロンドンに住む人の参加はまれで、ロンドン観光に来たついでに、オリンピック会場もひと目見ておきたい、と希望するイギリス人の姿が目立つそうだ。

死体も出た?一帯、元は汚染された工場地域

 ツアーは、リー(Lea)川という、テムズ川の支流が見られる場所からスタート。今回オリンピック会場に選ばれたロンドン東部は、古くからの工業地帯で、オリンピック施設建築のために再開発されるまでは、河川、土壌とも大変汚染されていた。

 「オリンピック会場建設にあたって、全域の川と運河すべてが清掃、浄化されました。そのとき出てきたのが、6万台のショッピング用カート、3千台の乗用車、死体4体です」

 「えぇ〜」

 ほかの参加者たちと同じように声をあげながら、歩いている横に流れる運河の水をついのぞきこむ。

 今だって濁ってはいるが、日差しの強い日だというのに、悪臭はしていない。また右手には緑が一面にひろがり、たくさんの木々が葉を茂らした下で、寝そべって本を読んでいる人や、サッカーボールを蹴って遊んでいる人たちがいる。説明を聞きながら会場周辺を歩き、初めてこの場所を見ると、ここがこんなにも緑豊かな場所になるまで、どれだけの作業が繰り返されたのだろう、と想像せずにはいられなくなる。

「イケア」による聖火型タワー

 ギリシャに始まるオリンピックの歴史や、過去2回開催されたロンドンオリンピックの歴史などを聞きながら進んでいくと、目の前にメーン会場と、左隣に赤い建物が小さく見えてきた。でも、もっと手前に、なにやら聖火トーチの形をした細長い塔のようなものがそびえているのが気になる。同じことを思ったらしい1人の女性が「あれはなに?」と質問した。

 「あれは、イケア(IKEA)が作った塔です。この辺りにイケアの店はないのに、あんな大きなものを作ったんですよ。でも、パブリシティ効果は絶大でしょう」

 塔は木製で、企業PRのために作られた、とだけ説明されたが、ちょっと調べてみると、イケアがこの一帯を買収、土地開発を進めており、完成は7月だという。40メートルの高さのこのタワー、夜には600以上のLEDでライトアップされるそうだ。

最も近づけるのはここまで

 建築中や、完成したばかりのアパートメントの建物群の間を抜けていくと、赤い大きなオブジェ風の塔にかなり近いところまで来た。

 「ここが、メーン会場、そして、この『オービット』に最も近づける場所です」アントニーさんが言う。

 そう、建設中のオリンピック会場は、セキュリティーのため、関係者以外は、中へ入ることは許されておらず、このツアーでも、会場の中に入ることはできない。

 「このタワーは、以前、この土地で不用となっていたパイプをリサイクルして作られています。115メートルあり、ヨーロッパで最も高い飛び込み台です」

 「飛び込み台」というのはアントニーさんのイングリッシュ・ジョークだが、この塔「オービット」には展望台があり、二つのエレベーターが稼働する予定。階段では455段だという。また、レストランもできるという噂があるが、それはまだはっきりと決まったわけではないようだ。

 オリンピックについて調べていたとき、このオービット(正確にはスポンサーの名前をとって「アルセロール・ミタル・オービット」と名付けられている)への批判をいくつか目にしたが、こうして実物を見てみると、この不思議な形も、元工業地帯であったこの地域のモニュメントとして、その名残を感じさせるようでもあり、悪くない。それにせっかくならやはりこれの展望台に上って、オリンピック会場を見下ろしてみたい、と思う人は多いはずだ。

最も人気?アクアティック・センター

 このあと、メーン・スタジアム、そして、すぐ横には水泳競技が行われるアクアティック・センターが近づくと、ツアー参加者たちが何度もカメラのシャッターを押しだした。前にいた中年女性二人組のひとりが 「わたしはこれが一番すき」と隣の人にささやいている。

 最も間近で見られたのがこの施設というせいもあるかもしれないが、ザハ・ハディッドという女性建築家によるこの建物は、カーブの形と、その脇に羽か翼のように広がった観客席(これは、競技が終了したのちには、取り外される予定)との組み合わせがとても印象に残った。

10月まで参加できる

 ツアーの到着地点、ストラットフォード駅近くのショッピングモール「ウェストフィールド(Westfield Stratford City))」へ来たのが、午後3時20分頃。ツアーは約2時間といわれていたが、だいたい予定通りに歩いたようだ。この前で、自転車競技場、選手村や、ジャーナリストが利用する建物など他の施設の説明を受けて、ツアーは終了だ。

 「このショッピングセンター内にあるデパート『ジョン・ルイス』の3階には、会場を見渡せる展望室があるので、時間のある方はそちらもどうぞ」

 今回のルートは、ツアーに参加せずとも、自分で巡ることも可能だ。また、建設が進めば進むほど、セキュリティー上、会場へ近づける度合いが減ってくる可能性はある。とはいえ、オリンピック開催中から、終了後の10月までこのツアーは開催されるとのことなので、イングリッシュ・ジョークを交えたガイドを体験してみたいという方は、こうしたものに参加してみても面白いだろう。

 事前にオンラインでの申し込みが必要だが、アントニーさんによれば「当日の飛び入り参加でも受け入れますよ。わざわざ足を運んでくれたお客さんを、申し込んでいないから、といって追い返すことはしませんから」とのことだ。

プロフィール

マクギネス真美さん プロフィール画像

マクギネス真美(まくぎねす・まみ)
9年半の雑誌編集者時代を経て2003年渡英。共著『ハッピーハッピーロンドン』(双葉社)。「ダ・ヴィンチ電子ナビ」では電子書籍のレビューをしている。辛抱を強いられる公共交通機関、街中のおかしな看板や不思議な食べ物など「イギリスの実態」を、おもしろ画像とともに自身のウエブサイトでレポート。最新情報はツイッターでもつぶやいています。
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