RSS
現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ロンドンオリンピック2012
  3. 深く知る
  4. London Journal
  5. 記事
2012年8月2日
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

オリンピック開会に湧く街、五感で感じた「日本のよさ」

文と写真:マクギネス真美

写真:当日は「N Bar」をプロデュースした中田英寿さんはじめ「ARIGATO in LONDON」の実行委員に名を連ねるデザイナーのコシノジュンコさん、元陸上選手の為末大さんなどがオープニングセレモニーに参加拡大当日は「N Bar」をプロデュースした中田英寿さんはじめ「ARIGATO in LONDON」の実行委員に名を連ねるデザイナーのコシノジュンコさん、元陸上選手の為末大さんなどがオープニングセレモニーに参加

写真:和太鼓の演奏。その迫力に人々が圧倒されていた拡大和太鼓の演奏。その迫力に人々が圧倒されていた

写真:「ARIGATO in LONDON」が開催されている場所からは、ビッグ・ベンも望むことができる拡大「ARIGATO in LONDON」が開催されている場所からは、ビッグ・ベンも望むことができる

写真:会場はロンドン・カウンティ・ホール。大観覧車「ロンドン・アイ」のすぐ隣拡大会場はロンドン・カウンティ・ホール。大観覧車「ロンドン・アイ」のすぐ隣

写真:日本酒を楽しむお客さん。バーでは、冷やした日本酒をフルート型のグラスで提供している。すべて1杯7ポンド拡大日本酒を楽しむお客さん。バーでは、冷やした日本酒をフルート型のグラスで提供している。すべて1杯7ポンド

写真:普段は、飛行機のファーストクラスでしか飲むことができない種類の日本酒も試すことができるそう拡大普段は、飛行機のファーストクラスでしか飲むことができない種類の日本酒も試すことができるそう

写真:「東北大震災に対する支援へのお礼が主旨なので、今回は東北地方のものをメーンに19の蔵元から約24種類の日本酒を用意してきました」と、はせがわ酒店の長谷川浩一さん拡大「東北大震災に対する支援へのお礼が主旨なので、今回は東北地方のものをメーンに19の蔵元から約24種類の日本酒を用意してきました」と、はせがわ酒店の長谷川浩一さん

英国民も賞賛した開会式

 「コメディ、音楽、NHS(国民医療サービス)という、英国が世界に誇る3つが登場した開会式だった。楽しめたよ」。オリンピックにまったく興味がないといっていた友人から、翌日こんなメールが届いた。

 「驚きの島(Isles of Wonder)」というテーマを掲げたロンドンオリンピック開会式に対するイギリス人たちの反応は上々だった。開会式以降、会う人ごとに、開会式を見たか、どう思ったか、と聞いてみているのだが、誰もが「見たよ」「良かったね」と口を揃える。

 ただ、開会式の最中、イギリス人以外の人がこんなツイートをしていたのを見た。

 「ツイッターで解説をしてもらわないと理解できないオリンピック開会式は初めてだ」。

 確かに、イギリス人以外の人々が、出てくる内容をすべて理解できたのか、楽しむことができたのか、という疑問はあった。また、保守派の政治家などからは批判の声も上がっていた。

 とはいえ、多くのイギリス人たちが、誇るべき開会式であったと感じているのは間違いなさそうだ。普段は自国を肴(さかな)に自虐的ともいえる冗談を言うのが得意なイギリス人だが、さすが世界に対しては「英国はすばらしい」と思わせるやり方をよく知っている。

 もし日本が次にオリンピックを開催するとなったら、どんな開会式になるのだろう。そんな話題が、開会式後、在英の日本人との間で話題になった。そういえば、東京は2020年のオリンピック、パラリンピック招致を目指している。

「ありがとう」を伝えるイベント

 「ARIGATO in LONDON」は、開会式の翌日、ロンドン名物の大観覧車「ロンドン・アイ(London Eye)」のそばにオープンした、東日本大震災に対する日本への支援に「ありがとう」を伝えるイベントだ。

 世界中からの、被災地への支援に対する感謝を伝えるため、世界で話されている83の言語で「ありがとう」を表した映像の放映、東北復興の様子を伝える写真展を開催している。また、日本文化を知ってもらおうと、三味線、日本舞踊や和太鼓などのパフォーマンスを日替わりで開催している。

 初日は、廣田丈自(ジョー・ヒロタ)さんが率いるグループでの太鼓の演奏が行われた。オープニングセレモニーでは報道陣がつめかけて満席だったのと同じ会場。演奏が始まった当初は、並べられたパイプ椅子の前3列ほどしか人が入っていなかった。

 ところが、演奏が始まって、地響きのような、お腹に響いてくる太鼓の音が鳴りだすと、次々と人が集まってきた。日本人でも、和太鼓の演奏をこんなに間近で聞く機会はほとんどない。ましてや、和太鼓自体を初めて見た外国人であれば、きっと驚いていることだろう。

 演奏をする人々の、全身を使った激しい動きに、人々は吸い込まれるようにして見入っている。席はあっという間に埋まり、気づくと立ち見客もたくさんいる。手拍子も始まった。

 「すばらしい! すごく、すごくよかった!」2曲目の演奏が終わったとき、隣に座っていた男性が大きな声をあげた。「そうでしょう、日本にもこんなにすばらしいものがあるんですよ」思わず、自慢したくなった。

中田英寿氏の日本酒バー

 また、このイベントでは、「N Bar」という日本酒のバーもオープンしている。サッカー元日本代表の中田英寿さんがプロデュースしたバーで、日本から来た5名の蔵人が毎日カウンターに立ち、客に日本酒を提供している。

 オープニングで中田さんがバーに現れたときには、大変な人垣ができ、人気を集めていたが、ロンドンでの日本酒の浸透度自体は、まだまだ高いとは言いがたい。

 日本食料品店をのぞけば、ほんの限られたスーパー以外では日本酒を売られているのを見たことがない。また、日本酒を置いているパブやバーなども少ないため、日本酒を飲むチャンスといえば、日本食レストランに行ったときに限られてしまうからだろう。

 「ここでは、華やかでフルーティーな種類を中心に、白ワインのように、冷やして日本酒を楽しんでもらえるよう提案しています」と、バーの運営に協力しているはせがわ酒店の長谷川浩一さんが説明してくださった。

 確かに、ビール1パイント(568ml)が5ポンド以下で気軽に飲めるイギリスでは、日本酒はどうしても割高に感じてしまう。日本酒の楽しみ方から伝えていくのも大切だ。

日本のよさを世界に伝えたい

 寿司やカラオケ、漫画、ニンジャに侍(!)など、イギリス人が日本から連想するものはいろいろあるようだが、イギリスが開会式で見せたのに負けないくらい、日本にも歴史、そしてすばらしい文化がもっとたくさんある。オリンピック開会式の翌日にオープンしたこのイベントで、それをあらためて感じた。

 オリンピックのせいで、普段は持ち合わせていると思わなかった愛国心が芽生えたのだろうか。世界の人々に日本のよさを知ってもらいたい強く思う。日本国内に色々問題があることは承知している。でも、大丈夫、イギリスだって、内輪では問題山積だが、外に対してはこんなにも自分たちを誇らしく見せているのだから。

データ

「ARIGATO in LONDON」公式サイト
8月11日まで開催。

プロフィール

マクギネス真美さん プロフィール画像

マクギネス真美(まくぎねす・まみ)
9年半の雑誌編集者時代を経て2003年渡英。共著『ハッピーハッピーロンドン』(双葉社)。「ダ・ヴィンチ電子ナビ」では電子書籍のレビューをしている。辛抱を強いられる公共交通機関、街中のおかしな看板や不思議な食べ物など「イギリスの実態」を、おもしろ画像とともに自身のウエブサイトでレポート。最新情報はツイッターでもつぶやいています。
検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

写真

朝刊カレンダー

        26 27 28
29 30 31 8/1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13          
朝日新聞社 アサヒ・コム ロンドンオリンピックTwitter(ツイッター)アカウント朝日新聞社 アサヒ・コム ロンドンオリンピックTwitter(ツイッター)アカウント
ドコモポイントコース