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2012年9月6日
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パラリンピックと新たな「出会い」 熱気続くロンドン

文と写真:マクギネス真美

写真:スタジアム内、立ち上がって応援する大観衆拡大スタジアム内、立ち上がって応援する大観衆

写真:五輪に代わって登場したパラリンピックのマーク「アギト」拡大五輪に代わって登場したパラリンピックのマーク「アギト」

写真:メダル授賞式でスクリーンに大写しされる英国選手、リチャード・ホワイトヘッドさん拡大メダル授賞式でスクリーンに大写しされる英国選手、リチャード・ホワイトヘッドさん

写真:オリンピック・パーク内にはコスモスの花が咲いていた拡大オリンピック・パーク内にはコスモスの花が咲いていた

写真:ロイヤル・メールが発行している金メダリストの切手。当初、オリンピック金メダリストは個人別のものを発行するのに対し、パラリンピック金メダリストは、1シートに6枚セットのものにまとめて印刷する、という予定だった。しかし、不公平との批判が相次いだため、パラリンピック金メダリストの切手も個人別に発行することに拡大ロイヤル・メールが発行している金メダリストの切手。当初、オリンピック金メダリストは個人別のものを発行するのに対し、パラリンピック金メダリストは、1シートに6枚セットのものにまとめて印刷する、という予定だった。しかし、不公平との批判が相次いだため、パラリンピック金メダリストの切手も個人別に発行することに

写真:競技場内で販売されている日刊のプログラムも、オリンピック、パラリンピックとでまったく同様のものが製作、販売されている。(右がパラリンピック、左がオリンピックのもの)拡大競技場内で販売されている日刊のプログラムも、オリンピック、パラリンピックとでまったく同様のものが製作、販売されている。(右がパラリンピック、左がオリンピックのもの)

 ”The stadium is absolutely packed! (競技場、人がぎっしり満員だよ!)”

 会場に入ってすぐ、家で留守番をしている家族に携帯からメール報告した。8万人が収容できるというオリンピック・スタジアムに入ってすぐに感じた、圧倒されそうなほどの観客の多さと会場の熱気を伝えたかったからだ。

 観戦したのは、パラリンピック3日目の陸上競技。その日までに金メダルを獲得した英国人選手が、すでに新聞の一面を飾り、チケットもほとんどの種目が売り切れ、と聞いていたので、人々のパラリンピックに対する関心が高まっている、とは予想していた。そして、実際にスタジアムを埋め尽くすほどの人が見に来ている様子を見て、それを実感した。学校の新学年が始まる前(夏休み中)の週末ということもあってか、子ども連れの人たちが目立ったのが印象的だ。

拍手と声援、鳴りやまず

 もちろん、オリンピック人気による影響は大きいだろう。また、観客の中には、パラリンピックにはそれほど興味がなくても、オリンピック・パークや、競技場を見てみたいから、という理由でチケットを入手した人も含まれてはいたはずだ。とはいえ、スタジアム全体は、不思議な一体感に包まれた感じで、身を乗り出すようにして競技を見ている人も少なくない。トラック競技がスタートする際に静かになる以外は、ほとんどずっと、かけ声、拍手が交互、または同時に会場中に響いている。

 両脚が義足の英国選手、リチャード・ホワイトヘッド(Richard Whitehead)さんが200m決勝でトラックに登場すると、地鳴りのようにわき上がる声援が続いた。見事、彼が1位でゴールを切った後は、会場にいる全員が彼の家族や親戚かと思うほどの、温かさが感じられる大きな拍手と叫び声が起こった。その後、競技場を一周して観客にお礼をするホワイトヘッド選手に向かって、皆が立ち上がって拍手し、英国旗を振ったときには、つられてこちらも一緒になって手が痛くなるほど拍手をし、彼から見えるはずもないのに、大きく手を振ってしまった。

最後まで温かく見守る

 当然のことながら、会場の人々は、英国の選手だけを応援していたわけではない。どの種目の、どの選手にも、大きな拍手が送られ続けていた。これには、自分が拍手を受けているわけでもないのに、胸がジンとするほどだった。たとえば、走り幅跳びでは、各選手の走る足並みに合わせて常に手拍子が起こった。男子1500mでは、2周遅れでトラックを走っていた選手に、多くの人は立ったまま、彼が完走するまで声援を送った。

”The crowd is amazing!(観衆の応援は素晴らしかった)”。テレビで見ていると、何人ものアスリートが、インタビューのとき、こう口にした。実際の競技場内の様子はまさにその通りだった。ロンドン・パラリンピックの観衆は多分、オリンピックのときに負けないくらいの声援と拍手を選手たちに送っているに違いない。

「知る」きっかけに

 このように、たいへんな盛り上がりを見せている大会だが、イギリスにおいて、パラリンピックは、これまで今回ほど知られてはいなかった。また、この国に障がいのある人への偏見や差別がないわけではない。ただ、このパラリンピックを通して、今までよりはずっと多くの人が、パラリンピックに興味を持ち、障がいのある人々について、少しでも理解しようとしはじめたことは間違いないだろう。

 前回ご紹介したように、英国では今回、チャンネル・フォー(Channel4)というテレビ局が、パラリンピックを放送している。テレビで毎日、長時間にわたってパラリンピックが放送される、というのは今までになかったことだ。もちろんインターネット上でも放送を見ることができる。

 また、同局では毎晩、自身も障がいを持つ、オーストラリア出身のコメディアン、アダム・ヒルズ(Adam Hills)さん司会による、当日の競技を、笑いを交えてレビューする番組が放送されている。

 番組内では、普段、障がいのある人に聞くのを躊躇するような質問を視聴者から受け付け、話題にしてみたり、シッティングバレーボールなど、パラリンピックの種目をゲストが実際に試してみたりと、「障がい」をタブー視したり、シリアスに扱いすぎずに、視聴者に理解させようという工夫がなされている。

メディアにとっても新たな挑戦

 そのチャンネル・フォーでは、障がいのある人や、パラリンピック出場経験のある人を番組のプレゼンターやリポーターとして起用し、その人たちに60万ポンドをかけて、テレビ放送のためのトレーニングをしたと伝えられている。そして、パラリンピックに関連する番組に登場するプレゼンターは、障がいのある人と健常者が、約5割ずつの割合になっているという。

 また、BBCのサイトには、どのような表現や言葉は使ってよく、どれなら不適切なのか、大会前に真剣な議論が行われた、という記事が掲載されている。今年始めに英国パラリンピック協会(British Paralympic Association)が発行した「パラリンピックにおける用語ガイド(Paralympics language guide)」に基づいて、メディア団体がミーティングを開き、パラリンピック報道に向けて、ガイドに沿うよう確認しあったともいう。

 今回のパラリンピックは、アスリートたちだけでなく、英国メディアにとっても、新たなチャレンジの機会になっているようだ。

プロフィール

マクギネス真美さん プロフィール画像

マクギネス真美(まくぎねす・まみ)
9年半の雑誌編集者時代を経て2003年渡英。共著『ハッピーハッピーロンドン』(双葉社)。「ダ・ヴィンチ電子ナビ」では電子書籍のレビューをしている。辛抱を強いられる公共交通機関、街中のおかしな看板や不思議な食べ物など「イギリスの実態」を、おもしろ画像とともに自身のウエブサイトでレポート。最新情報はツイッターでもつぶやいています。
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