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2012年9月14日
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ロンドン「まつりのあと」に見えたものは?

文と写真:マクギネス真美

写真:ナショナル・ギャラリー前に掲げられたパラリンピック・ロゴ拡大ナショナル・ギャラリー前に掲げられたパラリンピック・ロゴ

写真:夏の間、このようなマスコット像がロンドンの街中に拡大夏の間、このようなマスコット像がロンドンの街中に

写真:パラリンピック金メダル受賞者の特別切手も販売された拡大パラリンピック金メダル受賞者の特別切手も販売された

 月曜日に、ロンドンオリンピック・パラリンピック合同の祝勝パレードが行われた。選手たちを乗せた21台のオープンカーの行列。それを見るため、一部のメディアでは100万人とも伝えられたほど、多くの市民が詰めかけた。

 この夏の大イベントも終わり。

 開催前には「盛り上がっていない」と言われ続けたロンドン五輪。だが、大会が始まってみると、メディアは連日、トップで取り上げた。オリンピックだけでなく、パラリンピックに関してもだ。期間中は、世の中にまるで他のニュースなどないかのような大きな扱いだった。

 もちろん、中には「これから、この盛大なイベントにかかった巨額な費用というツケを払っていかなければならない」と「お得意の」皮肉を言うイギリス人もいる。だが、「スポーツを見てこんなに感動をしたのは初めてだ」とか「終わってしまったのが寂しい」というのが、周囲で多く聞かれた感想だ。

演出・表現のうまさに脱帽

 今回の大会が結果的に人々の関心を集めたのは、イベント全体の表現の仕方、見せ方がうまかった、というのがひとつの要因ではないか。

 ロゴやマスコットは、発表当初、わかりにくい、気持ち悪い、などといった悪評がつきまとっていた(その様子を書いたコラムはこちら)。そのマスコットのウェンロックとマンデヴィルが、大会開催直前、ロンドンの街中にさまざまな格好で登場。すると、一緒に写真を撮る人が絶えないほど、注目度は高まっていた。

 開会式の総合監督は「トレインスポッティング」「スラムドッグ$ミリオネア」などで知られる映画監督ダニー・ボイル氏。セレモニーでのジェームズ・ボンドとエリザベス女王の共演は、世界中の話題となった。

 五輪放送をしたBBCは「オリンピックでのすべての競技を見せる」という方針のもと、インターネットも活用し、連日、オリンピックを伝え続けた。

 そして、パラリンピックでは、テレビ局Channel4が、迫力ある美しい映像でアスリートたちを紹介。人々の目を、選手の障がいではなく、卓越した技能へと向けさせた。

 また、多くの市民が、聖火ランナーや大会ボランティアとして関わったことで、当事者意識が芽生えたというのも大きかったと思う。

 街で見かけた、ユニフォームを着たボランティアたちは、誇らしげに見えた。会場内やその周辺では、ボランティアたちが観客とハイタッチをしたり、かけ声を掛け合ったり、おしゃべりしたり。ロンドンの人たちがこんなにフレンドリーな様子を見たのは初めてだった。

再考?「英国人気質」

 ところで、日本から今回の大会を見ていると「やっぱりイギリスはすごい」と、思われた方もいるかもしれない。

 でも、住んでいる者からすると「普段、いい加減なところも多く、仕事に対する責任感が強いとは言いがたいイギリス人たちが、よくぞここまでやったな」と、驚いたというのが正直な感想だ。

 というのも、この国は、電車や地下鉄などの交通機関が遅れたり、休止するのなんてあたりまえ。古い駅や建物ではバリアフリーなんてまったく考えられていない造りのところも多い。また、「お客さまは神様」だなんて思ってもみないから、カスタマーサービスは、たいがいが愛想が悪くて時間がかかる。

 普段がそんなだから、オリンピックのような大イベントでも、なにか失態をするに違いない、と思っていた人も少なくなかったからだ。

 一方で、パーティーなどでは思い切りハメをはずし(時にはずし過ぎることもあるが)、大騒ぎをするのが好きなのもこの国の人々。そして、他人に余計な干渉はしないけれど、頼まれたら、自分のできる範囲での協力を惜しまない。そうした英国人気質(?)は、ボランティアたちの行動によく表れていたように思う。

 個人的には、オリンピック・パラリンピックともに実際の競技を見ることができ、その雰囲気を実感できたのがハイライトだった。斜に構えたところのあるイギリス人たちが、途切れることなく選手に拍手を送り、立ち上がって声援を送る姿には感動して泣きそうになった。

 また、このコラムを書かせていただき、メールやSNSで感想やメッセージをいただいたことも、わたしにとってはロンドン五輪での忘れられない思い出になった。これまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

 オリンピックのレガシーとして、これからこの街で引き継がれていくものがどういった実を結ぶのか、これからも気にして見ていきたいと思っている。(おわり)

プロフィール

マクギネス真美さん プロフィール画像

マクギネス真美(まくぎねす・まみ)
9年半の雑誌編集者時代を経て2003年渡英。共著『ハッピーハッピーロンドン』(双葉社)。「ダ・ヴィンチ電子ナビ」では電子書籍のレビューをしている。辛抱を強いられる公共交通機関、街中のおかしな看板や不思議な食べ物など「イギリスの実態」を、おもしろ画像とともに自身のウエブサイトでレポート。最新情報はツイッターでもつぶやいています。
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