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8台の3次元カメラで動作解析 中京大アイスアリーナ

2009年10月10日17時47分

写真:鏡に囲まれたサブリンクで練習する浅田拡大鏡に囲まれたサブリンクで練習する浅田写真:メーンリンクの大きな鏡の前で練習する浅田。氷温は最適のマイナス4度という拡大メーンリンクの大きな鏡の前で練習する浅田。氷温は最適のマイナス4度という写真:アリーナ内にあるトレーニング室。浅田は「私が一番使っているかも」拡大アリーナ内にあるトレーニング室。浅田は「私が一番使っているかも」写真:今年2月に完成したサブリンクの「レインボーリンク」=上田幸一撮影拡大今年2月に完成したサブリンクの「レインボーリンク」=上田幸一撮影

 「世界で一番のリンクだと思う」

 今、拠点にしている中京大アイスアリーナのことだ。日本国内でリンクの閉鎖が相次ぎ、滑る場所の確保に苦労する選手もいる。そんな中で、貸し切りの時間はしっかり取ってもらえるし、海外での大会前には時差に合わせて深夜や早朝に練習スケジュールを組むこともできる。

 名古屋駅から地下鉄などを乗り継いで1時間あまり。愛知県豊田市の中京大豊田校舎に07年5月、メーンリンク(60メートル×30メートル)がオープンし、今年2月にサブリンク(40メートル×20メートル)もできた。日本唯一の「フィギュア専用」というのが売り。ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設でもある。

 「きれいだし、トレーニングジムもシャワールームもサウナもある。サブリンクもあって、こういうリンクは米国にけっこうあるんですよ」

 ロシアや米国などのリンクも知る浅田が「世界一」と言うのは、フィギュアに科学でアプローチできる施設でもあるからだ。中京大体育学部長の湯浅景元教授を中心とした約20人のフィギュア研究プロジェクトチームがあり、動作解析、生理学、心理学などの専門家がメンバー。8台の3次元カメラで映像解析でき、インターネットで海外の指導者に映像を送ることも簡単だ。サブリンクの天井には90個以上のカメラを設置する予定。「世界で例がない」と湯浅教授は自負する。

 すでに「自分の滑りを映像解析してほしい」という声が多く届いているという。だが現時点では、トップ選手の映像解析は始まっていない。バンクーバー五輪は目前。大がかりなデータ検証をして、それを本人たちにフィードバックできる時間は少ない。湯浅教授は「4回転を跳ぶために必要な条件とか、いろいろ伝えられることはあるんです。でも、それを理解して、生かすためには、選手やコーチと一緒に研究しなければいけないですからね」。

 バンクーバー五輪を目指して浅田らが練習する中、今後蓄積されるであろうデータは、次の世代に生かされていく。「今までは師匠とお弟子さんによる『伝承の世界』だったとすると、次はフィギュアを科学的にとらえ、一般化していく必要がある。真央さんたちの滑りを分析して、どんなトレーニングがふさわしいか、どんな栄養をとればいいのかを考えて、真央さんたちの次の世代にどう結びつけていくか」。フィギュアを科学的に伝承する場を目指す。

 06年夏、名古屋から米国へ渡った一つの理由はリンクだった。当時の本拠・名古屋スポーツセンターがフィギュア人気で激しく込み合うようになり、練習しづらくなった。「危ないなと思う場面もあった」。一般営業時間に事故防止のためにジャンプの練習などを制限するリンクも多い。

 中京大のリンクが出来て、地元に戻ってこられるようになった。「やっぱり、地元の愛知にこんなすばらしいリンクがあるのは大きいです。本当にありがたいです」としみじみと話す。(坂上武司)

    ◇

 <国内スケートリンク事情> 日本スケート連盟によると全国のスケートリンクは、中京大と関西大の大学専用リンクを合わせ計140カ所。リンクの施工管理を専門とするパティネ商会によると、10年ほど前には約250カ所あったというが、厳しい経済環境で閉鎖が相次いだ。連盟は「選手強化協力拠点」として16カ所を公認。知名度アップと大会や合宿の誘致によって、閉鎖の流れに歯止めをかけようとしている。

 国内で年間を通して利用できるリンクは25カ所。夏季は通年リンクに選手が集中し、より練習に専念できる北米やロシアなどへ渡るトップ選手も珍しくない。

(2009年8月24日 朝刊掲載)

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