2009年11月24日10時58分
船木和喜のジャンプ。向かい風は有利、追い風は不利となる=竹花徹朗撮影
8月、サマーGPが行われた白馬ジャンプ競技場には、欧州から持ち込まれた風速計が設置された=金川雄策撮影
ノルディックスキーは自然の中で競い合う。天候に成績が左右されても「自然を相手にしているから仕方がない」とあきらめるしかないのか。風などの影響を受けやすいジャンプでは、自然の変化の中で「公平性」への試みが始まっている。
8月に長野県の白馬ジャンプ競技場で開かれたサマーグランプリで、船木和喜(フィット)とシモン・アマン(スイス)の成績が「逆転」する場面があった。
船木の飛距離は123.5メートルでアマンは120.5メートル。飛型点でも上回る船木が6.9点リードするはずだった。だが、船木は秒速0.75メートルの向かい風で、アマンは追い風0.3メートル。風が不利な状況だったアマンは加点され、逆に船木は減点された。結局、アマンが飛距離で2メートル以上に相当する4点リードとなった。
こうなったのは、国際スキー連盟(FIS)が今年のサマー大会から試している新方式のためだ。
新方式とは、風の条件やスタート位置によって得点を修正するというもの。ジャンプ台の5カ所に設置した機器で風の向きや強さを測り、ジャンプ台の形状も考慮した複雑な計算式で加減するという。不利な追い風なら飛距離がなくても点数は上がり、逆に飛距離があっても有利な向かい風なら負けることもある。
新方式は競技運営にも変化をもたらした。競技中に風向きや風速が大きく変わると、これまではスタート位置を変え、飛び終えた選手をもう一度飛ばせる必要があった。ところが、新方式ならスタート位置を変えても得点を修正できるため、飛び直しさせる必要がない。中断しなければならないような一時的な強風にも、スタート位置の調整で競技を続けられるという。
選手やコーチにはおおむね好評で、競技時間のめどがつくことから、中継するテレビ局からの評判もいい。だが、問題点も現れた。
着地が苦手な選手がスタート位置を下にさげて飛距離を少し犠牲にしたところ、テレマーク姿勢を入れられたことで減点を防げたという。これを見た他の選手もまねたため、飛距離が極端に短い試合になってしまった。その後、スタート位置の変更を制限する修正が加えられたものの、今後もルールの不備が浮かび上がることもありそうだ。
最長不倒でも勝てない試合が出てくるかもしれない。そうなれば、観客の混乱を招き、面白みに欠ける恐れもある。複合は今季のW杯開幕戦から新方式を導入し、ジャンプのW杯では中盤戦から試される。天候の数値化は簡単ではないため、バンクーバー五輪での採用は見送られた。
ジャンプは「公平性」がテーマになってきた歴史がある。フィンランドでは3千万ユーロ(約40億円)をかけて、天候に左右されない屋内ジャンプ競技場を建設する計画もあった。「自然との闘い」は、これからも続く。(斎藤孝則)
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(日本時間)03月01日(月)07時58分現在
順位 | 国 | ![]() |
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1 | ![]() |
14 | 7 | 5 |
2 | ![]() |
10 | 13 | 7 |
3 | ![]() |
9 | 15 | 13 |
4 | ![]() |
9 | 8 | 6 |
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6 | 6 | 2 |
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0 | 3 | 2 |
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