■相性いいリンク　自信に

　金妍児（キム・ヨナ）とともに、スケート競技で金メダルを期待される韓国のスターだ。「国民の妹」と呼ばれる彼女と同じマネジメント事務所に所属している。男子５００メートルの金メダル候補は「彼女はすごいスター。僕も今回メダルを取ればＣＭ出演とか何かがあるかも……」。ニヤリと笑う。

　今季のＷ杯は優勝は１度だけだが、２位が２度、３位が１度で総合ポイントは１位と安定している。そして、何よりの強みは五輪本番の会場「リッチモンドオーバル」で勝っていることだ。

　五輪と同様に２回滑って合計タイムを競う昨年３月の世界距離別選手権。３４秒８０、３４秒９３で優勝。同オーバルは海に近い低地にあって空気抵抗が大きく、氷も軟らかい。脚力が必要とされるリンクだが、ダッシュ力と滑りの技術を兼ね備える李は全く苦にしていない。「カルガリーの高速リンクよりも好きだね。ここで優勝したことが自信になっている。心の支えだ」

　２０歳で出たトリノ五輪は銅メダル。「当時は期待も注目もなく、その他大勢の選手だった」と振り返る。今回はベテランの李奎ヒョク（ヒョクは火へんに赫、イ・ギュヒョク）とともに、韓国の二枚看板として金メダルを取りに行く。「メディアの期待も大きいので重圧も感じている」と明かす。

　男子５００メートルは今季のＷ杯、８レースで優勝者が６人と大混戦だ。韓国代表の金寛奎（キム・グァンギュ）監督は「加藤条治、長島圭一郎、及川佑。日本チームの方が強力だよ」と牽制（けんせい）しつつ、こう付け加えて笑った。「トリノでは食材に苦しんだが、バンクーバーは韓国料理の店が多く、何でも手に入る。過ごしやすいのは大きいね」（稲崎航一）

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　李康ソク（ソクは夾の人がそれぞれ百、イ・ガンソク）　Ｌｅｅ　Ｋａｎｇｓｅｏｋ　トリノ五輪５００メートル銅メダル。２００７年３月、５００メートルで３４秒２５の世界新（当時）樹立。０９年世界距離別選手権５００メートル優勝。２４歳。