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上半身鍛え、滑りに安定感 スピードスケート・加藤条治

2009年10月16日16時2分

 古着屋で最近買ったタンクトップが、きつくて入らなかった。5枚買って何とか着られたのは1枚だけ。「ちゃんと鏡を見て丈を合わせて買ったのに、肩や胸のあたりがきつくて」。頼りなかった上半身が、がっちりしてきた。

 元々、下半身のバネは人並み外れている。階段ダッシュではチーム内で圧勝だ。ほかの選手が2段飛ばして来るところを、3段飛ばしで駆け上がる。高村洋平コーチは「人よりアキレス腱(けん)が長く、下腿(かたい)三頭筋が発達している。小さい頃から山の中で育って、木登りなどで自然と鍛えられたのでしょう」。

 今季は上半身の強化にも取り組んだ。理由は二つ。「もう技術だけでは勝てないと痛感した」。そして、昨季の不調の原因を探った結果「体のバランスが悪くなっていた。体幹を鍛え直そうと」。チームを離れ、故郷の山形などで約1カ月間筋トレに励んだ。部屋でテレビを見ている間にも腹筋、背筋をした。

 成果がすぐに表れたわけではないだろう。ただ、7月20日からバンクーバーの五輪会場で始まった氷上合宿で、安定感のある滑りを見せている。「感覚的にいいですね。まともに滑れなかった3月と比べて全然違います」

 海外合宿は約3週間続く。練習以外は「部屋で寝てます。出無精だし」というが、実は楽器が好きだ。今回は持ち込んでいないが、2年前の夏に4カ月間渡米した時はギター教本を買い、ひとりで弾いた。寮の自室にはトランペットもある。「小学生の時にブラスバンドに入っていたので楽譜は読めます」

 もうひとつ、遠征の必需品は携帯型ゲーム。新発売の「ドラクエ」もバンクーバーへ向かう機内でやり込んだ。レース前の控室でもよくやる。「時間つぶしにちょうどいい。来年の五輪でも? その時にはまっているゲームがあれば、やるかも」と人懐っこい笑み。こんな力みのなさが、条治流だ。

    ◇

 かとう・じょうじ 85年山形市生まれ。日本電産サンキョー所属。06年トリノ五輪のスピードスケート男子500メートル6位。

(2009年8月1日 朝刊掲載)

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