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注目から逃れ、心に癒やし モーグル・上村愛子

2009年10月16日16時16分

写真:ウィスラーでの合宿を笑顔で振り返る上村愛子=能田英二撮影拡大ウィスラーでの合宿を笑顔で振り返る上村愛子=能田英二撮影

 「本当に景色がよくて、癒やされる。地元の白馬に帰ってゴンドラに乗った気分みたい。疲れとか、色んなことを考えすぎているのを1回リセットさせてもらえる」

 6月に結婚した。世間の注目から心身を切り離すことが必要だったのかもしれない。7月10日まで約2週間、カナダ・ウィスラーでの全日本代表合宿は、張りつめそうな緊張感を和らげ、ゆとりをもたらした。

 思い出の地だった。14歳の時にここでモーグルと出会い、五輪をめざすきっかけになった。

 「若い頃のやんちゃな自分を思い出す。スキー、アルペン、スノーボード……。いろんな競技の人がいて、みな楽しそうにかっ飛ばしている。そんな人たちと滑れ、リラックスできた」

 合宿は、大半が好天に恵まれた。日本では盛夏でも、標高が約2500メートルの練習コースは雪が残っている。そのコースをスキーウエアを着ずに滑れたほどだった。

 「大会の時に臨むような強い気持ちで、何本も何本も滑れた」。技術的な修正より、心のムラをなくすことに重点を置いた。これまでは、夏までに陸トレなどで鍛えた体のイメージと、雪の上をいざ滑り始めた時の体のイメージのギャップが大きすぎて、イライラするのが常だった。今回は、陸上と雪上との切り替えがうまくいったため、イライラがなかった。

 トレーニングにメリハリをつけられたこともよかった。「ものすごく好きな場所なので、やっぱりのんびりする」。山を下りれば、ジョギングやストレッチをした。大好きな土地の空気を吸い、しっかりと体をいたわることができた。

 夫の皆川賢太郎とは合宿中も、「行ってきます」と「ただいま」のメールは欠かさなかった。「だんな様と、五輪の時に、最初に訪れたい場所。私の好きなウィスラーを教えたい」。ほどよく力が抜けている。

    ◇

 うえむら・あいこ 今年3月の世界選手権モーグル2冠でバンクーバー五輪代表に内定。6月にアルペンスキーの皆川賢太郎と結婚。北野建設所属。29歳。

(2009年8月2日 朝刊掲載)

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