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山に通ってイタリア流鍛錬 リュージュ・原田窓香

2009年10月19日16時37分

写真:レールに乗せたそりでスタート練習をする原田窓香拡大レールに乗せたそりでスタート練習をする原田窓香

 セミの鳴き声だけが響き渡る長野市ボブスレー・リュージュパークに自宅から通う日々。山の中腹に張りつく長野五輪の施設では、クモの巣を取り払ってから練習を始めた。質素なプレハブ小屋の脇に置かれた器具で、黙々とスタートの練習に取り組む。

 「本当は、オリンピックシーズンまで向こうで生活する予定だったんですけどね」

 昨年5月、イタリアチームの練習に参加するため、大学を休学して単身で渡欧。オーストリアに近いイタリア北部に拠点を置いた。そり競技の公用語といわれるドイツ語や練習内容を学ぶこと、スタートの向上が目的だった。

 「初めは笑い話しかしてくれなかったコーチや選手が、ドイツ語を話せるようになると、技術やトレーニングについて真剣に話してくれるようになったんです」

 だが、問題もあった。夏場のイタリアチームは全体練習が週1回だけで、その他の日は各選手が地元に戻ってトレーニングをしていた。地元が日本の自分は、ウエートなど練習パートナーがいなければ出来ないことが多かった。

 「語学はクリアしたし、トレーニングの中身も分かった。あとは筋力アップをどうするかとなったら、日本(に戻ること)かなと思って」

 スタートで使う筋肉は、日本では懸垂が一つの指標にされていた。かつて1回もできず劣等感にさいなまれていたが、イタリアで一掃された。「懸垂ができなくてもスタートが速い選手はいるんです」。バーベルなどで、スタートに必要な筋肉を個々に刺激。そりの微妙なコントロールに生かせるバランス練習もイタリアで知った。

 「でも、この時期は不安になるんです。やっている練習が正しいのか間違っているのか、シーズンが始まらないと分からないじゃないですか」

 レールに乗せたそりでスタートを競う大会が8月下旬、イタリアで行われる。この夏の成果を試せるチャンスだ。

    ◇

 はらだ・まどか 85年ブラジル生まれ、長野育ち。長野五輪の競技役員だった父の影響で、小4からリュージュを開始。昨年12月の全日本選手権で6連覇を達成した。信州大所属。

(2009年8月6日 朝刊掲載)

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