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早めの仕上げ、心にゆとり モーグル・上村愛子

2009年10月25日16時16分

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 約半年ぶりの実戦にも、世界女王に違和感はなかった。

 「冬から時間がたっても、スキーの上に立つ体のポジションの感覚を忘れてないな、と思った」

 8月は雪を求め、全日本チームと南半球へ。8月21、22日はオーストラリア選手権を兼ねたコンチネンタルカップに出場した。視界が遮られるような大雨だった第1戦は3位、第2戦は優勝だった。

 「毎年、この時期の大会は出たくないと思う。自分らしい滑りが出来ないし、体力面でも言い訳なんかたくさんある。でも、今は調子良いですって、言うしかない」

 今シーズンの雪上合宿はすでに3度目。例年より、雪の上にいる時間は長い。「去年、おととしに比べ、夏に今の滑りが出来るのは全然違う」。五輪シーズンだから早めに仕上げていくヤンネ・ラハテラ・コーチの戦略は、心にもゆとりをもたらしているようだ。

 W杯開幕戦は12月とまだ遠いが、「ヤンネからは『アイコは1カ月先、いや明日、開幕でも良いだろ?』って言われて、そうだねって答えました」と笑う。今回、技術面の指示をあまりしてもらえなかったのは、特に修正点がないからだろうと理解している。

 スキーの板は硬めのものを試したりしたが、結局、昨季と同じ軟らかめなものに落ち着いた。

 「新しいものを試すのはすごく楽しいけど、自分のものにするには時間がかかる。五輪までの時間を考えると、ちょっとチャレンジしすぎかなと思って」

 表情に緊張は見られない。「春のフィンランド合宿からずっと70〜80%の調子を保ってます。あんまり根を詰めてやってるわけじゃない。冬には体も気持ちも引き締まり、90%ぐらいに勝手にあがっていく。そして、五輪でピークに持って行きたい」

    ◇

 うえむら・あいこ 女子モーグルのバンクーバー五輪代表に内定。4度目の五輪で初のメダルを狙う。北野建設所属。29歳。

(2009年9月10日 朝刊掲載)

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