1カ月にわたる全日本チームのニュージーランド遠征から9月1日に帰国した。午前5時30分、ホテルのベッドから抜け出し、ひざのケアをすることが日課だった。
「ちゃんと準備しておけば、痛みをコントロールできる範囲にはなるんです。半身浴で30分ぐらい温めてからストレッチ。それから廊下に出て柔軟運動。みんなは朝食直前まで寝てましたけどね」
02年3月に左、06年末に右の靱帯(じんたい)を損傷した両ひざは、普通に滑ることさえ難しいという。スキー場に着いてからも、チームとは別メニューが待っている。
「練習前も入念にストレッチするので、みんなより少し遅れてポールに入ってました。最初はやる気満々で20本ぐらい滑ったら、2日目にはひざが悲鳴をあげましたね。10本前後に控えました」
真夏は重要な時期だ。今季使う用具を決定し、目指す技術を構築しなければならない。旗門を設定した実戦さながらの練習が少なくなれば、W杯初戦までに準備が間に合わなくなる恐れも出てくる。
「確かに不安はありましたけど、(ポールに入らないで普通に滑る)フリースキーを多くやったことが逆に収穫になりました。体の動きを確認してからポールに入ったら、最後の1本までクオリティーを保ったまま滑れたんです」
基本動作を繰り返したことで、スキー操作の感覚を研ぎ澄ますことができたという。材質も構造も違う6種類のスキーをテストし、実戦で使うものも決められた。
「(開幕してから)用具が合わないので修正したいという状態になれば、すごく厳しくなる。自分の用具がそろっていれば、(現状では)トップ10に入ることも難しいことではないと思います」
久しぶりに自信に満ちた表情でシーズンを迎えられそうだ。
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みながわ・けんたろう 06年トリノ五輪で男子回転4位となり、アルペン日本勢で50年ぶりの入賞。今年6月にモーグルの上村愛子と結婚した。竹村総合設備所属。32歳。
(2009年9月11日 朝刊掲載)