2010年3月2日11時27分
閉会式が終わり、バンクーバーの観光名所になっていた海辺の聖火台の炎も消えた。
「素晴らしく、とてもフレンドリーな大会」。国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は総括した。街も人も歓迎ムードに満ちていた。2001年の米同時多発テロ以降、セキュリティーチェックがこれほど緩く、ストレスの少ない大会は記憶がない。
聖火は「友好」のシンボルだった。聖火を見るために開放された展望台は長蛇の列ができ、記念撮影をする市民で終日にぎわった。2年前、世界中で大混乱した北京五輪の聖火リレーで傷ついたイメージは理想の形にもどった。
聖火台は当初、五輪反対運動を警戒するため、金網フェンスに遮られ、遠くから眺めるしかなかったが、「刑務所の中から見るみたい」などの市民の声に大会組織委員会は耳を傾けた。フェンスを聖火台に近づけ、撮影の邪魔にならないように目線の高さの部分は金網を切り取るなど、真摯(しんし)で柔軟な対応をみせた。
移民が多い多民族国家の一体感が最高潮に達したのは最終日、カナダが金メダルに輝いた男子アイスホッケーの会場だ。試合の合間にスクリーンに映し出されたのは、カナダ代表の赤いユニホームを着た多様な人種の熱狂する顔だった。カナダが積み上げた金メダルは14個で1位に躍り出た。5年計画で100億円規模を強化に投入し、「大会の成功に開催国の活躍は欠かせない」という重責に応えた。
82カ国・地域から5千人を超す選手・役員を受け入れる懐の深さもあった。バンクーバーの人口は周辺部も含めれば200万人を超す。スキーなどの舞台となったウィスラーは北米有数のスキーリゾートだ。1994年リレハンメル大会(ノルウェー)のような、こぢんまりした大会を懐かしむ声もあるが、五輪にあこがれるアスリートたちの夢をかなえようとすれば、スリム化は難しい。IOCは女子ジャンプやスノーボードの新種目の採用を検討している。
4年後、14年ソチ大会(ロシア)は黒海沿いの保養地を開発して会場にする。北京五輪開幕の日に勃発(ぼっぱつ)したグルジアとの軍事衝突の最前線である南オセチアは目と鼻の先。政情不安は今なお続き、五輪にも暗い影を投げかける。
東西冷戦の真っ最中で、日本を含む西側諸国がボイコットした80年モスクワ五輪以来、ロシア(旧ソ連)に聖火がともる。五輪史の上でも「平和の祭典」の意義を改めて問いかける舞台となる。(稲垣康介)
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(日本時間)03月01日(月)07時58分現在
順位 | 国 | ![]() |
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1 | ![]() |
14 | 7 | 5 |
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10 | 13 | 7 |
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9 | 15 | 13 |
4 | ![]() |
9 | 8 | 6 |
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6 | 6 | 2 |
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0 | 3 | 2 |
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