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英スポーツ振興も「仕分け」 ロンドン五輪まで2年

2010年8月3日10時57分

写真:建設中の五輪スタジアム(右奥)と水泳会場(左手前)。五輪まで2年を表す大きな「2」も描かれた=AP拡大建設中の五輪スタジアム(右奥)と水泳会場(左手前)。五輪まで2年を表す大きな「2」も描かれた=AP

 2012年ロンドン五輪の開幕(同年7月27日)まであと2年を切った。主会場などの建設は順調な一方で、英国では、「大会までに200万人を超す人々がスポーツに親しむ」という五輪の「遺産」を残すためのプロジェクトは足元が揺らいでいる。13年ぶりの政権交代の影響で、スポーツの効用を社会に浸透させ、将来にわたって継承することをめざした施策は「縮減」が避けられそうにない。

■政権交代で縮減傾向

 主な五輪会場が集まるロンドン東部・ストラットフォードでは、8万人収容の五輪スタジアムの屋根や照明施設がすでに完成。2年前イベントでは五輪金メダリストらが参加したイベントも催された。

 五輪ムードが徐々に高まるのを感じながら、スー・キャンベル氏(61)は政府との折衝を重ねている。彼女は学校体育の振興などにあたる「ユース・スポーツ・トラスト」と、五輪レベルのアスリートを支援する「UKスポーツ」のまとめ役。「新政権は労働党政権が掲げた目標を残そうとしない。200万人以上が活発にスポーツに親しむという目標の達成は厳しい」。五輪開催をきっかけに、スポーツの効用を広め、次世代にも引き継ぐ普及・振興策が、縮小されないかと心配する。

 労働党の旧政権はスポーツに熱心だった。五輪招致で先頭に立ったブレア首相(当時)は、不登校などの教育問題をスポーツの充実で解決しようと、02年にスポーツ振興策を立ち上げた。5年間で100億ポンド(当時約1兆9千億円)の国家予算を投入し、実施率が下がっていた小中学校の体育の授業を、週2時間以上にすることなどを目標にした。五輪招致で国際オリンピック委員会(IOC)委員に高く評価された政策だった。

 ブラウン政権に引き継がれた07年には「新・学校体育スポーツ戦略」として、肥満解消などの健康対策にも広げた。08年に「200万人以上のスポーツ参加」という「遺産」の目標が設定された。

 それが、5月の総選挙で保守党が第1党になって発足したキャメロン政権の誕生で、雲行きが一変した。巨額の財政赤字を改善するためには予算のスリム化が避けられず、スポーツ関連予算も仕分けの対象になったからだ。

 「遺産」プロジェクトの一環で導入した「16歳以下と60歳以上」を対象にしたプール無料開放はさっそく撤廃。「利用者の多くは有料でも泳ぎに来る」という文化メディアスポーツ省の調査をもとに、無料開放は「投資効果が低い」と判断された。

 子どもたちへの投資も仕分けの候補に挙がる。学校間や学校と地域の連携など、草の根のスポーツ振興を支える「学校スポーツ協定」もその一つ。公立の小中学校にスポーツのコーディネーターを2万人以上雇用するもので、国からの支援は年間約1億6800万ポンド(約230億円)。「五輪の『遺産』を残せるかどうかは、この学校スポーツ協定の予算の維持にかかる」とキャンベル氏はいう。

■会場建設は順調

 会場の建設は順調で、「五輪のメダルランキングで4位以上」という目標に向けた強化費も直接的な影響を避けられそうだが、開催地を決めた05年シンガポール総会で、IOC委員の心を打った「遺産」プロジェクトの先行きは不透明。キャメロン政権は「200万人以上」という目標の撤廃も視野に入れているという。(編集委員・忠鉢信一)

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