いつも行く理容室で女性客の姿が増え始めたのはいつごろだろう。最近のことではない。カーテンで仕切られた座席で彼女らは顔や襟足や腕をそってもらう。肌の露出が大きい服を着る人は背中もそるという。美容室ではシェービングはできない▼美容室に通う男性は以前から珍しくない。筆者も30年以上前に試してみた。なんだか落ちつかないので、すぐに床屋さんに回帰した。最近では男性専用の美容室も人気だという。人それぞれ、好みの場所でくつろげればいい▼法律によれば、理容師とは髪を刈り、顔をそるなどして容姿を「整える」人である。美容師とはパーマをかけ、髪を結うなどして容姿を「美しくする」人である。両者は画然と分けられ、例えば一つの店で一緒に働くことは今は禁じられている▼これを解禁し、混在勤務を可能にしてはという議論が、政府の規制改革会議で進められている。比較的似た二つのサービスを一カ所で受けられる方が消費者は便利だ、というのが一つの理由らしい▼反対論もある。例えば美容師はバリカンの技術をほとんど学ばない。混在勤務だと、美容師にあたった客はトラ刈りにされる恐れが強い――。厚労省の資料が挙げる論拠の一つだ。技術のない美容師がひげそりをするなら安全上問題だとの指摘もある。長年の規制をなくす話だけに抵抗は小さくない▼一利用者としては、理容室と美容室が別々でも一緒でもさほどの不都合は感じない。人それぞれ好みの場所で、と再び思う。