深まる秋を愛(め)でる間もなく、東京などではもう木枯らし1号が吹いた。季節の巡りは速い。2閣僚辞任などで政権への逆風も吹いた10月の言葉から▼景気回復の実感を全国津々浦々に、と首相。群馬県南牧(なんもく)村の長谷川最定(さいじょう)村長は首をかしげる。「村にはアベノミクスの『3本の矢』は1本も届いていない。その効果を地方に浸透させると言っても現実味がない」▼成長戦略の一つというカジノ法案も雲行きが怪しい。賭博は人を蝕(むしば)む。思想家内田樹(たつる)さんは「国民が不幸になることで受益するビジネスを国が率先して行うという発想が、僕には信じられません」と厳しい▼70年前の10月、特攻隊による米艦への体当たりが始まった。2度出撃して生き残った桑原敬一さん(88)は軍隊という組織の理不尽さを忘れない。「走らされているとき、苦しいかと聞かれて、正直に、はい、と答えればたたかれる。志願するかと聞かれて、志願しないという選択はありえないんですよ」▼日本一から一転、最下位に沈んだ楽天。監督を退いた星野仙一さんがファンに語った。「まさに、今年と昨年は天国と地獄です。歓喜のあとには悪魔が常に寄り添っている。人生ってそんなもんかな、と」▼ノーベル平和賞は声なきすべての子どもたちのためにある、とマララ・ユスフザイさん。「世界中の子どもたちに、権利のために立ち上がらないとダメだよって伝えたいです。誰かを待っていてはダメなんです」。勇気ある17歳は今、「良い政治家」を志す。