心のポケットにしまっておいた詩句を、人はときおり取り出しては味わい直す。そうした一編に米国の詩人ウルマンの「青春」がある。「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ちかたを言う」の冒頭はよく知られる(作山宗久訳)▼そして、「年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる」と続いていく。かのマッカーサー元帥も愛誦(あいしょう)していた名詩を、本紙地域面の小記事に思い出した。神奈川県大和市が先ごろ、「60歳代を高齢者と言わない都市」を宣言した▼広報や案内にも69歳までは高齢者と表記せず、他の文書などもそのつど検討していくという。「豊かな知識と経験は市の宝。はつらつと活躍していただきたい」。発案した大木哲(さとる)市長は自らも65歳だそうだ▼おととい発表された総務省の人口推計では、65歳以上が25・1%となり初めて4分の1を超えた。一方で、14歳以下は12・9%で過去最低になった。人口ピラミッドは安定感から遠く、3年続きで人口は減っている▼「お若く見えますねと言われたら、年をとったなと言われていると思え」と米国の随筆家アービングが言っていた。超高齢化と人口減の社会が甘いはずもないけれど、皮肉をきかせた警句より、ここはウルマンの前向きを支持したいものだ▼リタイア後、あこがれた「毎日が日曜日」の暮らしを無聊(ぶりょう)がる人もいる。あとは人生訓と説教癖というのでは少々寂しい。60代は高齢者に非(あら)ずの意気と体力を、50代は今から鍛えるとするか。