似て非なるもの、という。各種の選挙期間中に、厚紙でつくった円形のうちわのようなものを候補者の陣営から手渡されることが多くなった。名前や政党名、訴える政策などが色鮮やかに書いてある▼うちわに似ていても選挙ビラである。選挙管理委員会に届けて承認を受け、証紙を貼って配る。2009年夏の衆院選や13年夏の参院選でいくつか受け取った。あおぎやすいよう、直径3センチほどの穴をあけて指が入れられるタイプもある▼炎天下で街頭演説を聞く有権者に涼しさを提供しつつ、候補者を売り込む。普通のビラよりは受け取ってもらいやすいという計算があるのだろう。法に触れないぎりぎりの知恵というべきか▼同じうちわでも、こちらには選管のお墨付きはなかった。ただの丸い厚紙ではなく、柄もあれば骨組みもある。これを今夏、地元のお祭りなどで配り、公職選挙法が禁じる寄付にあたるのではと追及されて、松島みどり氏が法相を辞した▼国会で実物を示され、これは何かと問われて、支持者向けの「討議資料」と答えていた。詭弁(きべん)というほかない。「うちわと解釈されるなら、うちわとしての使い方もできる」とも。法をつかさどる閣僚が法の抜け穴の活用術を説くかのようで、しゃれにならない▼松島氏はきのうも、法には触れていないと繰り返した。経産相を辞任した小渕優子氏のカネをめぐる問題も解明はこれからだ。昔の自民党流に、2人の退場で混乱を幕引きにしようとしても、そうはいくまい。