およそ納得できる結論ではない。これでは小池百合子知事が掲げる「自律改革」も看板倒れになりかねない。

 東京都の豊洲市場の盛り土問題について、小池氏がきのう、内部調査の報告を発表した。

 専門家会議が想定しなかった地下空間がつくられた主な原因として、職員の連携不足や組織の縦割りなどを挙げたが、責任者や時期は特定しなかった。

 「誰が、いつ、どこで、何を決めたのか。原因を探求する義務がある」。議会で明言したのは3日前。その「義務」が果たされないままでは、都民も肩すかしを食った気分だろう。

 市場の移転問題だけでなく、東京五輪の費用見直しでも次々に課題が噴出している。新任の知事がいきなり挑む問題としては相当厳しいのも確かだ。

 今回の不十分な報告は、16万人の職員からなる官僚組織に切り込むには、いかに壁が厚いかを物語っているのだろう。

 しかし、総額数千億円を投じた公共事業がここまで不透明に進められ、都民に虚偽の説明がなされてきた事実は重い。

 調査の中で元市場長の一人は「専門家会議の提言の通りにやらないことは、憲法を守らないのと同じと考えていた」と語った。ならばなぜそうなったのかとの疑問がいっそう膨らむ。

 知事が言うとおり、目的は犯人捜しではない。主眼は、これまでの都政の問題を洗い出し、是正に生かすことにある。

 巨大プロジェクトをどう決めているのか。都議会と健全な関係にあるのか。都政のブラックボックスをこじ開ける役を小池氏は有権者から託されたのだ。

 就任直後から果敢に手腕を振るう姿勢をみせたことは評価できる。一方で就任から2カ月たち、一定の結果を示す段階にさしかかっているのも確かだ。

 新市場の建物や地下水などの安全問題は、専門家会議の調べによる結論を待つべきだろう。いたずらに風評被害を招いてはならない。冷静な分析のもとで安全性を判断すべきだ。

 一方、盛り土問題は、立ち止まることなく事実解明を尽くすべきだ。都政改革本部には、外部有識者も加わって各局を点検する「内部統制プロジェクトチーム」がある。生きた検証材料になるのではないか。

 都には、4年後に迫る五輪開催の責任のほか、高齢社会にどう向き合うかなど様々な課題がある。古い密室行政の体質から脱し、透明で効率よい都政づくりを都民は待望している。

 改革の勢いを、ここで失速させてはならない。