銀行が無担保で個人にお金を貸す「カードローン」が急増している。返しきれないような過剰融資を防ぐため、銀行と金融庁は実態の把握を急ぎ、実効的な対策をとるべきだ。

 個人向けの無担保ローンではかつて、消費者金融による多重債務が社会問題になった。利息の高いお金を借り、それを返すためにまた借金を重ねて、生活が行き詰まる人が続出。自殺の原因にもなっていた。

 対策として消費者金融などに適用される貸金業法が改正された。年20%超の「グレーゾーン」金利が撤廃され、合計で年収の3分の1を超える貸し出しを原則禁止する「総量規制」も導入された。その後、消費者金融の貸付残高は急減している。

 一方、銀行のカードローンはこの4年で2兆円増の5・4兆円にまで増え、消費者金融を上回った。背景には、日銀の低金利政策により、従来の貸し出しや運用では、利ざやをとりにくくなったことがある。

 見逃せないのが、銀行は貸金業法ではなく銀行法が適用されるため、総量規制の対象外であることだ。朝日新聞が全国の銀行120行に書面でアンケートしたところ、回答した101行の大半が年収の3分の1を超える貸し付けをしていた。

 銀行カードローンが自己破産につながった実例もある。消費者金融がカードローンの「保証人」になって、貸し出しに関わっていることも多く、総量規制の抜け穴になっているとの指摘もある。日本弁護士連合会は、銀行も総量規制の対象にするよう金融庁に求めている。

 これを受けて全国銀行協会は3月、カードローンの広告・宣伝で、「総量規制の対象外」と強調しないことや、審査態勢の整備などを打ち出した。

 だが、銀行以外が運営している比較サイトでは、銀行は総量規制対象外との表現が目立つ。銀行自身のサイトも、依然、ウェブだけで申し込めることや、銀行だから「金利も安心」といった「借りやすさ」を前面に出した内容が大半だ。

 個人が一時的に無担保での借り入れを必要とすることはある。年収の3分の1を超えても返済できて、生活が助かる場合もあるかもしれない。

 しかし、朝日新聞のアンケートでは、年収の3分の1超の貸し付けに消費者の利便性があるかとの問いに、明確に答えられない銀行が半数近かった。銀行の利益だけを念頭に置くのなら、消費者金融と別扱いにする理由は薄れる。銀行業界はそのことを自覚するべきだ。