株主総会の開催がピークを迎えた。各社の決算の内容とともに、社外取締役の起用への関心が高い。

 「2名以上の社外取締役を」などと上場企業に注文をつけた行動指針が導入されて1年。企業統治に「外の目」を生かす意義を改めて考えたい。

 大きな注目を集めたのが、セブン&アイ・ホールディングス(HD)グループのケースだ。カリスマ経営者とされてきた鈴木敏文会長がコンビニ子会社の社長交代案を示したが、経営学者などの社外取締役らが「業績は好調で交代する理由がない」と異論を唱えた。鈴木氏の案は取締役会で否決され、鈴木氏がすべての役職から退くトップ交代劇に発展した。

 人事の当否は今後の業績を見守るしかない。ただ、通常は見えにくい社長選任過程の一端が明らかになり、首脳陣の高齢化を含むセブン&アイの現状と課題、役員間の意見の相違が浮き彫りになった。株主や消費者、取引先など多様な利害関係者に対する「透明化」の意味は小さくない。

 不正会計で歴代3社長が一斉に役職から退く事態となった東芝では、新社長をグループ内から昇格させた。判断したのは、財界団体トップも務める小林喜光氏ら5人の社外取締役だ。

 社外から招いて経営体制を一新する選択肢もあったが、財務が悪化している事態を考え、あえて社内をよく知る人材を指名したという。会見には小林氏が自ら出席して説明し、社外取締役が指南役として今後も東芝の経営刷新に責任を負う姿勢を示した。

 やはり社外取締役の主導で会長と社長を解職した大手警備保障会社セコムを含め、企業の生い立ちや直面する課題は異なる。ただ、どの業界も経営環境の変化は激しく、先行きを見通しにくい。生え抜き組だけでは見落としがちな視点からのチェックが不可欠だけに、社外取締役の果たすべき役割は大きい。

 東京証券取引所によると、上場企業全体での社外取締役は6千人を超え、取締役総数の2割に達した。問われるのは実効性だ。取引先からの登用や監査役の横滑りなどで体裁を整えても、企業統治の透明性を高める効果はおぼつかない。

 社外取締役を担える人材の不足をどうやって解消していくか。個々の企業が社外取締役の助言も得ながら多様な視点を備えた人材を育て、経営陣に登用する。そうした人材が他社の社外取締役を務める。そんな循環をつくっていく必要がある。