被災地の復興事業をはじめとする公共事業、空き家対策やコンパクトシティーへのまちづくり、遊休農地の活用、間伐など森林の整備……。

 私たちの生活の基盤を整え、次の世代に引き継いでいくための政策には、土地がからむものが少なくない。

 そこに今、難題が横たわる。所有者がわからない、わかっても連絡がとれない土地が増えているという現実である。

 バブル経済と土地神話が崩壊して久しく、税金など維持管理に費用がかかるばかりの「負の資産」となった不動産は珍しくない。血縁や地縁の薄れも重なり、所有者の死亡時に相続登記がきちんと行われないことが主な原因だ。

 国土交通省や民間団体のアンケートを見ると、自治体の多くが問題に直面している。人口減が進む地方のまちでより深刻だが、都市部もけっして無縁ではないようだ。

 背景には過疎化や少子高齢化、地域社会の揺らぎといった構造問題があるが、主がわからない土地の所有者を割り出す努力と、不明のままでも活用できる道をひらいていくことが欠かせない。

 個人情報の保護や所有権の尊重という大原則を守るのは当然だが、例外がどこまで許されるか、議論を深めたい。

 空き家対策や森林関連では、税務上の守秘義務がある固定資産税の課税情報を使えるようにした。遊休農地対策、森林の間伐と林道づくりでは、所有者がわからなくても知事の裁定など一定の手続きで土地を使い、木を伐採できる仕組みがある。

 こうした例外措置を、頭を柔らかくして少しずつ積み重ねていけないか。

 例えば、借地借家法に基づく定期借地権だ。バブル崩壊直後の90年代前半、「所有から利用へ」を掲げ、一定期間土地を使える制度が導入された。都市再開発などに活用されているが、所有者がわからないと対象にできない。必要に応じて例外を設ける余地がないだろうか。

 問題の発生を防ぐには、自治体の関係部署が連携して対応することが有効だ。京都府精華町は死亡届を総合窓口で受け付けた後、戸籍や社会保障、登記や税務、農地、森林関連の手続きをワンストップで案内し、成果をあげているという。

 国交省は3月、有識者検討会での議論を踏まえ報告書をまとめたが、現状分析と課題整理、当面の対策の列挙にとどまる。さらにどんな工夫が可能か、国と自治体で検討してほしい。