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 home > 今日の朝刊2004年06月24日(木)付 

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06月24日付

■参院選公示――この小泉政治でいいか

 参院選挙が公示される。小泉首相の政治をよしとするのか。それとも待ったをかけるのか。来月11日の投票日に有権者が問われるのは、そこだ。

 自民党総裁としての任期は2年後の秋まである。この参院選さえ乗り切れば政権は安泰だ。それが首相のもくろみに違いない。自民党が過半数を回復すれば、なおさら自信を深めるだろう。

 任期中はもう衆院を解散せず、改革ざんまいだ。首相が与党議員との会合でそう勢い込んだのは、今年2月のことだった。納税者の利益になる改革ならそれも結構と言いたいところだが、昨今の小泉政治を見れば、フリーハンドなどとても与えられる状況ではないと思う。

 この選挙では年金改革と自衛隊のイラク多国籍軍への参加が焦点となっている。課題の重さもさることながら、首相の手法の強引さやごまかしがあまりにひどいからである。選挙公約を見る前にまず、首相がやってきたこと、今やっていることに審判を下さなければならない。

 最新の出生率を伏せて無理やり通した年金改革法には、条文の間違いまで見つかった。首相のずさんな答弁に官僚も右へならえか。しかも、抜本改革は先送り。有権者は「人生いろいろ」発言に鷹揚(おうよう)なほど太っ腹だろうか。

 多国籍軍参加について、首相は「他国の武力行使と一体化せず、非戦闘地域で日本の指揮で活動する」と言う。この説明にうなずけるか否か。将来にわたって国の針路を変えるかも知れない政策変更を、国会に諮らずに決めた首相のやり方も見過ごすべきだろうか。

 小泉政権が誕生した3年余り前、国民は前例のない高支持率で歓迎した。だがこの間、国民は本当に政治を自分たちの手にたぐり寄せて来ただろうか。

 首相の人気が絶頂だった時期の前回参院選で、自民党は息を吹き返した。ところが投票率はむしろ以前より下がって戦後3番目の低さを記録した。昨秋の総選挙にしても、小選挙区の投票率は6割に満たぬ戦後2番目の低さだった。

 小泉首相の登場が、政治を身近に感じさせたことは間違いない。だが、国民は政治をみずから動かすよりも、観客として楽しんだり、怒ったりする段階にとどまっているのが実態ではなかろうか。

 小泉首相が気づかせてくれたのは、社会保障も安全保障も、そうした「お任せ民主主義」ではうまくいかないということだ。現状を変えたいなら、投票しないことには始まらない。

 景気は良くなってきた。明日も何とかなるだろう。そんな空気も漂う。首相は盛んに改革の成果だと胸を張る。だが本当にそうか。遅々として進まぬ小泉改革への不満は経済界にも広がっている。

 まずは首相の言葉に、与野党それぞれの主張に耳を傾けたい。自分の明日は今日と同じでいいのか、悪いのか。18日間の考えどころである。


■韓国人殺害――隣国のつらさを思う

 イラクで武装集団に人質として捕らわれていた韓国の青年が殺された。韓国軍の撤収と追加派兵の中止を要求していた集団が凶行に及んだものだ。

 「僕は死にたくない」と叫ぶ彼のビデオ映像は韓国の茶の間に繰り返し流れた。韓国民はかたずをのんで無事を祈ってきたが、それは通じなかった。軍の派遣を口実にされての初めての犠牲者である。衝撃は深い。

 4月には、日本人も5人が武装勢力に拉致された。幸い無事に解放されたが、世論は様々に沸騰した。韓国青年の殺害はひとごとではない。おぞましい犯行に言いようのない憤りを覚える。

 韓国の政府と与党は追加派兵の方針を変えないことを確認した。盧武鉉大統領も国民に向けて「胸がはり裂ける」と悲痛な思いを語りつつ、「国際社会とともに断固として対処する」と強調した。

 一方で、派兵の見直しを求める動きも広がっている。与野党の議員50人が追加派兵の撤回決議案を国会に出したのをはじめ、市民団体による派兵反対のろうそく集会などが続いている。

 外国人を人質にとって軍の撤退を要求し、殺す。武装集団のそんな犯行で、イタリアの民間人も犠牲になっている。

 とはいえ、日本人は全員解放されたのに韓国青年はなぜ殺されたのか。韓国内にはそんなやり切れぬ思いもある。

 日本人人質事件の犯人たちはイラク国内のイスラム武装勢力で、解放には宗教指導者の説得が役立った。今回の武装集団はアルカイダ幹部の関与が濃厚と米軍はみる。韓国政府は日本の経験にならって宗教指導者の工作に期待したものの、まったく通じなかったようだ。

 日本人の人質はイラク人の救援や報道に携わる人々だったが、殺された韓国青年は米軍に食料などを納める商社員だった。アラビア語の力を買われてのビジネスがあだとなった。無念だったろう。

 それにしても、韓国の置かれた苦しい立場を思わないわけにはいかない。

 北朝鮮の核開発をはじめ、朝鮮半島の緊張は続く。軍事的な抑止力でも、平和的な解決に向けた外交でも、最後の頼りは米国との同盟である。イラク戦争の大義がいかに薄れようとも、ブッシュ政権の派兵要請を受け入れざるを得ないのは、そうした事情があるからだ。

 韓国内の派兵反対勢力はもともと盧大統領の支持基盤と重なる。大統領自身も、心の底では米国のイラク政策に反対なのかも知れない。国民の間の反米感情も近年とくに強まっている。

 それを押しての協力なのに、韓国は派兵して当たり前というのが米政府の空気だ。自衛隊派遣には機会あるごとに感謝を表明する対日姿勢とは随分違う。

 イラクへの派兵問題が、米国に協力する国々の世論を分裂させている。韓国も例外ではない。韓国社会の葛藤(かっとう)が深まり、北朝鮮問題での日米韓協力や、米韓同盟の足元を揺るがすようなことになるのを何より恐れる。



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