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 home > 今日の朝刊2004年07月07日(水)付 

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07月07日付

■北朝鮮――金総書記の小泉頼み

 日本との間の懸案で動かせるものは動かそう。そんな印象を与える北朝鮮の姿勢が目立っている。

 曽我ひとみさんと、北朝鮮にいる夫の元米兵ジェンキンス氏や娘さん2人の一家4人が、明後日にジャカルタで1年9カ月ぶりに再会する。

 第三国での早期の再会実現を求めた日本の要求に北朝鮮が応えたわけだが、その協力ぶりは、細田官房長官が「北朝鮮政府にご努力いただいて、時期が予想以上に早まった」と感謝したほどだ。

 一方、北朝鮮に住む日航機「よど号」乗っ取り犯の残り4人が帰国できるよう、北朝鮮政府に手助けを求める手紙を送った。それを伝えた国営通信社は「我々は帰国に反対しない」と論評した。4人の引き渡しも、かねて日本が要求してきたことだ。

 いずれも日本側の要求に理があり、北朝鮮がそれに当然応えるべきことは言うまでもない。だが、この時期のこうした動きにはそれなりに意味があろう。

 鍵は、5月の小泉首相の再訪朝に違いない。金総書記との会談でも国交正常化に強い意欲を示した首相は、自民党総裁としての任期が切れるまでの2年どころか、最近は、正常化を「1年のうちにできれば」と、急ぐ姿勢を見せている。

 とにかく国交正常化を早く果たし、日本からの大規模な経済支援が欲しい。そう考える金氏にとって、首相の価値はきわめて大きいはずだ。

 米国との関係を打開するうえでも、ブッシュ米大統領と緊密な首相の役割に期待しているに違いない。

 首相は先月の日米会談で、北朝鮮の核をめぐる6者協議で米国自身の解決案を出し、北朝鮮を試してはどうかと大統領を説得したという。それがどこまで効いたのかはっきりしないが、米政府はその後の6者協議で、初めて包括的な提案を行った。これに対して、北朝鮮は一定の評価をした。米朝が原則を変えたわけではないが、協議の雰囲気は明らかに前向きに変わった。

 その小泉首相はいま参院選の真っ最中だ。北朝鮮にとって、小泉政権が揺らいだり、よもや首相が代わる結果は避けたいだろう。民主党の対北朝鮮姿勢はより強硬だ。そこで投票日をめがけて、首相にとってよかれというサインを送ったと考えることも、無理とは言えない。

 北朝鮮には、米国のテロ支援国指定から外れるためにも、拉致や乗っ取り犯問題の進展を印象づける狙いがあろう。

 もっとも、北朝鮮が大きく変わったということではない。曽我さんの家族再会も、「よど号」の件も、さほど難しい決断は要らない。しかし、安否不明の拉致被害者10人に関する真相の究明となれば、そう容易なことではあるまい。

 小泉首相の北朝鮮政策には様々な批判がある。だが、北朝鮮の強い関心を引きつけ、日朝間の外交にそれなりの土台をつくったことは評価できる。問題は次に北朝鮮をどう動かせるかだ。


■教育改革――愛国心でいじめが減る?

 子どもたちの「荒れ」が収まらない。文部科学省の02年度調査では、小中学校でのいじめは2万2千件、暴力行為は2万9千件にのぼる。

 学校に適応できない子も多い。小中学校の不登校は13万人を超え、高校中退は9万人に迫る。そのうえ子どもによる悲惨な事件が各地で続く。教育をなんとかしなければならない。そうした思いはだれにも共通のものだろう。

 しかし、荒廃の原因は何か、どうすれば改善できるのか。診断を下し、処方箋(せん)をつくることは容易ではない。

 長崎県佐世保市で小学6年生の女児が同級生に切りつけて死なせた日、同じ佐世保市で安倍晋三自民党幹事長が演説した。事件に触れ、「この国、この郷土の素晴らしさを教えてゆくことが大切だ」と述べ、教育基本法改正を訴えた。

 平沼赳夫前経済産業相も事件後にこう語った。「教育基本法では個人の尊厳が強調されている。日教組の教育とあいまって、個人の尊厳が行き過ぎて教室破壊が起こり、生徒同士が殺し合いをする荒廃した状況になってきている」

 まるで教育基本法のせいで事件が起こり、これを変えれば防げると言わんばかりだ。そんな単純なものだろうか。

 自民党内には、愛国心や公徳心、伝統文化の尊重を教育基本法に盛り込むべきだとの声がかねて強い。その声は憲法改正を求める声と重なっている。

 6月にまとめた憲法改正の考え方でも「愛国心」「道徳心」「歴史や伝統を踏まえた国柄」が強調された。だからなのだろう。選挙公約で教育基本法改正を新憲法の草案準備と並べて掲げている。

 与党の公明党も教育基本法の見直しを公約に盛り込んだ。ただし、現行法の基本理念については「いかなる時代にも通じる普遍的なもの」と評価している。自民党が改正法に求めている「国を愛する心」についても、戦前の軍国主義の反省から慎重な姿勢をくずしていない。

 民主党の公約は教育基本法にまったく触れていない。その代わり、「文部科学省の教育にかかわる部局を廃止」「国の役割を限定し、多くの権限を地方自治体へ移す」「教科書検定制度は将来的に廃止」などを掲げた。

 教育基本法を変える前に、文科省を解体し、分権を進めるという公約だ。だが、かえって現場が混乱しないか。いじめなどがすぐに解決するだろうか。

 共産党と社民党は改定に反対し、逆に現行法を生かす改革を公約している。

 教育基本法はわずか11条の短い法律だ。これまでは、その理念が大事にされてきたとは言いがたい。しかし、中身を変え、運用しだいでは、学校教育や社会教育を一変させる可能性がある。

 各党とも教育の荒廃を憂えているが、改革の方向は大きく異なる。教育は未来の支え手をつくる大事な問題だ。そう心得て一票を行使したい。



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