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 home > 今日の朝刊2004年07月20日(火)付 

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07月20日付

■小泉外交――中国を忘れてませんか

 小泉首相が今週、韓国を訪問し盧武鉉大統領と会談する。韓国ドラマが日本でブームになるなど、日韓には、かつてないほど友好ムードが高まっている。両国の良好な関係は、北東アジア地域の安定や発展にも欠かせない。

 北朝鮮の核やミサイル開発問題、日韓自由貿易協定など重要な課題も多い。首脳会談を定例化して、年に2回ほど開く案も話し合われる見通しだ。両国関係の未来像を率直に語り合ってほしい。

 両国の連携を深めるうえで、気になるのは日中関係だ。政治的にも経済的にもアジアのダイナミズムをつくっていくには、中国をこの連携の輪のなかに組み入れていく必要があるからだ。

 中国国家主席の日本訪問は98年の江沢民氏が最後で、現在の胡錦涛主席は昨年3月の就任後、まだ来日していない。日本からは01年秋の小泉首相の訪問で止まっている。

 冷めた外交関係に比べて、日中の経済関係は、中国の著しい経済成長を反映して、貿易も投資も拡大の一途だ。中国の研究者はこんな日中関係を皮肉を込めて「政冷経熱」と呼んでいるそうだ。経済関係が良好だからといって首脳交流が細っていていいはずがない。

 「政冷」の元は小泉首相の靖国神社参拝だ。首相は参拝のたびに「いずれは理解してもらえる」と言うが、日中間に何の変化の兆しもない。事態を改善しようという努力のあともみられない。

 首脳間の対話が実現していればうまくいっただろうと考えられることは多い。

 東シナ海のガス田開発では、日中が角つき合わせることなく共同開発に踏み出せたかもしれない。経済成長に伴い深刻化している中国の環境問題や代替エネルギー開発などでは、日本が技術協力できるだろう。中国の高速鉄道への新幹線導入問題は滞っている。

 また日韓の協調に加えて、日中が北朝鮮問題で連携をとれれば、北朝鮮への圧力は強まり、核、ミサイルや拉致問題の解決を加速できるだろう。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)からは、中国と政治対話できない日本に対して、地域における指導力を懸念する声が出ている。悪影響は日中関係だけにとどまらないのだ。

 韓国の盧大統領は昨年の就任演説で「韓国は中国と日本のかけ橋だ」と強調した。ならば、今回の日韓首脳会談で小泉首相は3カ国首脳会談を提起してみてはどうか。東京、北京、ソウルで順番に開けば相互訪問の突破口になりうる。

 歴代首相は政治体制の異なる中国との良好な関係維持に神経を使ってきた。天安門事件後、西側首脳として初めて訪中したのは海部首相だった。中国の世界貿易機関(WTO)加盟をいち早く支持したのも日本だ。

 首相はアジア外交という広い視野に立って、中国と正面から向き合ってほしい。今回の韓国訪問は、そのきっかけにすべきである。


■公益法人――課税狙いの改革は困る

 公益法人改革がおかしな方向に進んでいる。これから民間の非営利活動を広げていく必要があるのに、課税と規制を強めようとしているからだ。これでは民間の活動を促すどころか、抑えることになりかねない。

 政府が設けた「公益法人制度改革に関する有識者会議」が改革の「青写真」を発表した。

 公益法人には社団法人と財団法人がある。その公益法人の代わりに、登記だけで設立できる「非営利法人」を新たに設け、同窓会などの「中間法人」と統合する。そのうえで、非営利法人の中から「公益性のある法人」を選び直す、というものだ。

 これまでの公益法人は、主務官庁が自分たちのさじ加減で公益性を判断して、設立を認めていた。このため、つくりにくかったり、つくっても活動が制約されたりしていた。登記だけで設立できることになれば、不透明さや不便さはなくなるようにみえる。

 しかし、政府の隠された狙いは別のところにある。これまで原則非課税だった公益法人を非営利法人に切り替え、原則課税の中間法人と統合することによって、課税対象に加えようというのだ。

 公益法人の収入は会費や寄付が大部分で、そこから経費を引いて、剰余金ができれば、翌年に繰り越している。しかし、政府の思惑通りになれば、その剰余金が所得とみなされ、課税されることになる。非課税の法人になるには、新たな審査制度の下で、公益性を認めてもらわなければならない。

 民間の非営利活動で、公益法人と並ぶ柱になってきた特定非営利活動法人(NPO法人)は今回の改革からは切り離されている。しかし、NPO法人も非営利法人に統合しようという動きがいずれ出てくるだろう。そうなれば、いま非課税のNPO法人も課税対象になる。

 2万6千といわれる公益法人は役所が許可する仕組みのため、天下りや無駄な補助金の受け皿になっているところもある。もっぱら収益事業に力を入れているような団体もある。こうした団体を公益法人から排除するには、情報公開を徹底させ、身勝手を許さないことが必要だ。収益事業には税務当局が目を光らせ、きちんと税金を取ることも欠かせない。

 とはいえ、公益法人全体を原則課税にするのは解決策ではない。それでは「角(つの)を矯(た)めて牛を殺す」ことになる。

 こうした動きに対して、まじめな活動をしている公益法人やNPO法人がどれだけ懸念や不安を持っているか。政府は耳を傾けるべきだ。

 市民社会を担う民間の非営利活動を充実させるにはどうすればいいのか。宗教法人や社会福祉法人なども含めて、幅広い論議をする必要がある。

 そういう展望を持たないまま、課税を優先するような改革は、改悪としかいいようがない。改革論議は仕切り直しをすべきだ。



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