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戦士のほっとタイム
復帰戦で勝利「家族が支え」実感

畑山隆則 「ボクサーの模範にならないタイプ。遊ぶ時は徹底的に」 畑山隆則プロボクシング

 はたけやま・たかのり 青森市出身。青森山田高を中退して、93年プロデビュー。98年9月、WBAスーパーフェザー級王者に。99年6月、2度目の防衛戦に敗れ、引退を表明。横浜光ジム所属。24歳。通算23勝(18KO)1敗2分。

 華麗なる復活。昨年7月に引退を表明した畑山は6月、セラノ(ベネズエラ)にKO勝ちし、世界ボクシング協会(WBA)ライト級王者に。ただ、勝利の喜びにまさったのは、生きて自宅に帰れたことだった。

             ◇          ◇

 ――2階級制覇おめでとうございます。あら、ちょっと目が赤いような……。

 きのうは家で友達と朝6時まで飲んでました。最近は、外に飲みに行くことはあまりなくなりました。

 ――1年間のブランクがあって、怖さとかは?

 今回は不安な要素がありすぎて。ブランクもあるし、7年間いっしょにやってきた柳和龍トレーナーもいないし、ライト級での初戦だし。だから試合を終わってまずうれしかったのは、生きて家に帰れたこと。

 ――リングに上がって、今までと違うところはありましたか。

 一番の変化は階級を上げたことで、ぼくは強くなったということ。今までは約10キロ減量していたので、試合でパワーが出なかった。

 ○引退宣言で青春を満喫

 ――試合当日のコンディションも良かった。

 朝、シャドーボクシングをしたら、スピードがすごいし、体が軽い。これはいい試合になるな、と。1ラウンド戦って、相手のパンチが見える。勝つかもしれないと思った。

 ――勝って、一番最初に浮かんだ顔は?

 家族でしたね。今まではこんなことはなかった。会場で見ていた長男の隆将(4つ)が「パパに会いたい」ってすぐに控室に来たのも初めてで、うれしかった。

 ――奥様は。

 かみさん(真由美さん)は昨年、痛烈なKO負けを見ているから、今回は試合を見られなかった。試合が終わって夜中に、前から行きたかった家の近くにある中華のファミリーレストランに家族で行きました。寝るのがもったいなくて、その日は一睡もしなかった。

 ――家族はやはり支えになりますよね。

 これまでは若かったから、家族のために戦うなんてことは全然思ってなくて、自分のためだった。いい服着て、いい車乗って、いいものを食ってという。今は、家族のためというのも大きいウエートをしめるようになりました。

 ――引退宣言をした直後は遊びまくった。

 楽しかったのは1カ月だけ。16歳で青森から東京に出てきて、ほかの人が、俗に言う青春している時に、ぼくは仕事して、ボクシングして。やっぱり人並みに遊びたいと思っていたんです。1カ月間で、たばこ吸って、酒も好きなだけ飲んで、青春を取り戻しました。

 ○死ぬ間際に後悔はイヤ

 ――太田プロに入られて、芸能活動もやった。

 映画やテレビに出て、みんなそれなりにおもしろかったけど、今のおれがやることではないと思った。今しかできないのがボクシングで、自分にとっていかに重要かが分かった。

 ――復帰するにはかなりのエネルギーが必要だったと思いますが。

 男が1回やめると言ったのを簡単に撤回していいものかと思いました。でも、死ぬ間際、人生を思い出した時、昨年の6月でぷっつり切れてたらいやじゃないですか。人にうそつきと言われても後悔したくなかった。年末に正式に復帰して。ただ、遊んでいた半年間はいい休養になった。それまでボクシング一筋で、肉体的より精神的な疲労がたまっていた。モチベーションが明らかに低下していましたね。

 ○緊張せずに楽しく試合

 ――現在は。

 ボクシングが好きになりました。楽しみながらできる。以前は負けたら食いっぱぐれるという重圧があって、試合でガチガチになっていた。今は、負けたらまた考えればいいさ、ぐらいに考えているから緊張がなく、のびのびやれる。

 ――坂本博之選手との防衛戦が10月11日に決まりました。

 チャンピオンに2度もなったのに、ライト級なら坂本が強いと言うヤツが、いまだにいるんです。それが納得いかない。自分の方がぜんぶ上。バキバキ言わしてやりますよ。

             ◇          ◇

 ●飾らない率直さと、やんちゃさが魅力

 もともとは「悪ガキでもヒーロー、金持ちになれる」と家出までして目指したボクサー。そのころのやんちゃさを残しつつ、でもボクシングを語る、ほとばしる言葉にはすっかり聞きほれました。ジムのある通りには手書きのおめでとうのポスター。キャベツ2個100円のこの商店街に奥さんとよく買い物に来るとか。飾らない率直さが畑山選手の魅力、そして強さでもある。


<2000年7月4日付朝日新聞夕刊>


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