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戦士のほっとタイム
日の丸つけ、TVにずっと映りたい

西田隆維 「大八木さんや瀬古監督、指導者に恵まれました」 西田隆維
マラソン

 にしだ・たかゆき  栃木県出身。佐野日大高、駒大を経て、昨年エスビー食品に入社。駒大時代に4年連続で箱根駅伝に出場。4年の時9区で区間賞をとり総合初優勝。98、99年の全日本大学駅伝2連覇の主力。178センチ、55キロ。23歳。

 目立ちたがり精神をガソリンに、西田は走る。2月の別府大分毎日マラソンを2時間8分45秒で制し、今夏の世界選手権代表に内定。師匠、瀬古利彦を超える日は近い?

 ――優勝の実感、じわじわとわいてきました?

 あまりないですね。なんとなく勝っちゃったんだなあと。初めから狙っていくという試合ではなく、自己ベストを更新しようという気持ちで走っていたので。僕の力だったら、3年後とかを見ていたので、世界選手権も意識していなかった。ただ、40キロあたりからもう勝ったと思って、気分がウハウハに。これは目立っているぞという感じで。

 ――瀬古監督からは、何か言われましたか。

 「よかったな」と。監督はレースの後すぐ帰っちゃったんですよね。

■強い選手と練習一緒に

 ――監督の現役のころなんて、覚えてます?

 僕、監督のレースとか見たことないですから。大学3年の時に声をかけてもらって、意識するようになりました。監督は、マラソンで15戦10勝でしたっけ、10回も勝つってすごいなあと。普段は冗談ばかり言ってて、きさくで話しやすい。これまで怒られたことはないかもしれません。甘やかされているのかな。

 ――福岡国際で日本最高を出した藤田敦史さん(富士通)は、駒大の1年先輩ですが、どういう存在ですか。

 あの人は性格が、すごくまじめ。接しづらい人もいると思うんですけど、僕はすごく面倒みてもらって。目標とする先輩ですね。学生時代、一度も勝てなくて、だから、また同じことやってたら勝てるわけないじゃないですか。それがエスビーを選んだ理由のひとつです。やるなら、強い人に囲まれて練習したかったし。敦史さんとは食事もたまに行きますし、メールのやりとりも。この前、優勝した時は、「すごいな。でも世界選手権では負けないぞ」と入ってました。

■劇団受け、コーチ怒る

 ――駒大時代というのは競技に大きな影響を与えたと思いますが。

 陸上の推薦で仏教学部に入れてもらったんですが、いとこの家が寺で、卒業したら坊さんになろうと思っていました。小学校の時から衣を着て、手伝ってたんです。正月は坊さんがいっぱい集まってくるので、箱根駅伝も見たことがないくらい。入学当初は、箱根も1回くらい走れればいいかなという感じで。そこで、大八木コーチや藤田さんたちの考えを聞いて、もっと高いレベルの気持ちを持たないと、と思いました。

 ――辞めたいなと思ったこと、ありました?

 ありましたよ。夏はいつもしっかり走れなかったんで。3年の時は、坊さんになるのもやめて、劇団を受けに行って、1次審査は通ったんです。そしたら、大八木さんに見つかって、「おまえなんか、そんなところで通用しねえよ」って怒られました。

 ――劇団を受けたのはやっぱり目立ちたいから。

 そうですね。高橋尚子さんとか見ているとうらやましいですね。あれだけテレビに出ていて、いいなあと思って。大変そうですけどね。陸上選手でもこういう風に出られるんだと。

 ――ちょっと横道にもそれたけど、その後もちゃんとマラソンを続けている。

 箱根だけでは満足できなくて、やっぱり、日の丸つけたいというか。マラソンでテレビにずっと映っていたいというのがあります。

 ――8月には、いよいよ世界の舞台で走ります。

 入賞を目指して、そこから流れに乗って、メダルへ。プレッシャーは敦史さんの方がかかるから、その陰に隠れて走れれば。

■瀬古監督のタイム目標

 ――長距離界は、女性ばかりが目立ってるから。

 ふがいないと僕も言われないように頑張ろうと。それにしても渋井(三井海上)、すごいですね。あいつとは同郷で、高校時代から知っていましたが、話をしたのは大学4年の時。女の子と口をきけないタイプなんで。去年の夏くらいからメールもやってます。知り合いの活躍は刺激にもなるし、世界選手権でも気分的に楽に臨めると思います。

 ――将来的な夢は?

 監督のタイム(2時間8分27秒)を抜いて、将来は6分台とか5分台で走りたいですね。監督の戦績を上回るのは難しいですけど、あれを超えたら僕は、劇団に入ってもいいですかね。

●瀬古監督はニコニコ 「彼は優秀」頼もしげ

 色白ですらっとして、ジャニーズ系のルックス。走っている時のイメージと全然違うのでびっくり。「目立ちたい」ってあっけらかんと言ってのけるあなたに、瀬古監督も「彼は優秀だから」とニコニコ顔でした。自分とは全然違うメンタリティーを頼もしく思っているのでしょう。次はプレッシャーのかかる大会でどんな走りを見せてくれるか、楽しみにしていますね。



<2001年3月6日付朝日新聞夕刊>


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