■大逆転劇に思うこと
米大リーグで歴史的な逆転劇があった。22日のブルワーズ対アストロズ戦の
ダブルヘッダー第1試合。ブルワーズが9回に7点差を追いつき、延長10回に
ヘルナンデスの本塁打でサヨナラ勝ちした。7点差以上を9回に追いついたのは
メジャー通算7度目だという。「野球の試合は人生の縮図」。言い古されている
格言を思い出した。
なぜこんなことが起きるのか。人は時として「今」を忘れてしまう動物だから
ではないだろうか。野球の試合で大切なことは、ゲームが行われている間は、勝
利に向かって、一歩一歩確実に進んでいくことだ。逆に言えば「今」を大事にし
なければ、勝利にはたどり着けない。が、大量リードがある時、選手は足元の一
歩を見ずに、ゴールを見てしまうことがある。そして、試合の流れが逆流した時
に、そんなはずではない、とあわてふためく。もう、平常心を取り戻せない。
「今」が見えない。
人間は感情の生き物だ。そんな人間がチームを作り、ひとつひとつのプレーを
行うのだから、ゲームではあらゆることが起こりうる。昨日まで絶好調だった選
手が、スランプの暗いトンネルに迷い込んだりもする。選手は自分を最もよく知っ
ている。しかし、「今」の自分を見ることができないのも自分なのだ。
だから、「今」の自分を冷静に正確に分析してくれる他者をもてる選手は、幸
せだ。名コーチとの出会いが一流選手を生むのだ。ごく一部の天才を除いて、選
手は一人で一流の域まで成長するのは難しい。
「人は一人では生きられない」。やはり野球は人生の縮図なのだろう。
2000年5月29日
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