ボーダーレス●ラグビーW杯を前に
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私の国ではないが私のチーム
日本代表主将 アンドリュー・マコーミック(32)

マコーミック
試合前、両国国歌を聞きながら集中力を高めるマコーミック

 テストマッチと呼ばれる国代表同士の試合前には、両国の国歌が流れる。そんな時、日本代表主将のマコーミックは「君が代」を静かに聞く。「歌わない? ええ、歌詞を知りませんから。でも、聞くのは好き。とても感動する。だって、日本でたくさん素晴らしいことがあった」

 故郷のラグビー王国ニュージーランド(NZ)では、いつも「ファギーの息子」という目で見られた。父はNZ代表「オールブラックス」の名選手だった。祖父もNZ代表のラグビー一家。マコーミックは強豪カンタベリー州の主将などを務めたが、NZ代表には、あと1歩届かなかった。そんな時、東芝府中から誘われ、「環境を変えてみよう」と日本行きを決意した。

 史上初の親子3代にわたるNZ代表の夢は遠のいた。父ファギーさんは「うれしいことではなかったが、彼が最善を尽くせることを望んだ。もし、NZに残っていても、オールブラックスに選ばれてなかったかもしれない」と振り返る。

 1992年に来日し、95年から東芝の主将に選ばれ、3年連続日本一に貢献した。昨年から日本代表史上初の外国人主将になった。日本代表の平尾誠二監督は「非常に大人」という言い方で主将に指名した理由を説明する。グラウンドだけに限らず、彼の人間性が大きな決め手になった。来日当時、東芝の監督だった花岡伸明・現ヤマハ発動機監督は「同じキャリアだったら、主将は日本人がいい。周りから信頼されるようになったのは、彼の努力」と言う。

 日本で知り合ったブラジル人のカシアさんと結婚、1歳の長男トーマスちゃんと暮らす。「日本で生活し、日本人とかかわりをもちながら、国代表の立場でプレーしている。国歌が流れるとき、プライドを感じます。僕には日本のために果たす責任がある。日本が『私の国』とはとても言えないが、『私のチーム』だから」。マコーミックは、こんな思いを胸に、父も果たせなかった舞台に立つ。

        ◇        ◇        

 英国・ウェールズなどで開かれるラグビーW杯まであと1カ月。五輪やサッカーW杯と違い、選手は国籍にとらわれず血縁や居住年数を満たせば所属協会から出場できる。日本代表には最多の6人の外国人選手が選ばれた。前回大会(95年)後のプロ化も拍車をかけ、世界トップに、もはや国境はない。新しい流れの中での「人模様」を追った。

(1999年9月3日付朝刊から)

ボーダーレス(2) ジョン・レズリー    
ボーダーレス(3) パティリアイ・ツイドラキ
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