【北京=奥寺淳】尖閣に始まり、尖閣に終わることになります――。丹羽宇一郎駐中国大使が26日、離任を前に北京で会見し、在任中の2年4カ月を振り返って悔しさをにじませた。「相手に『けしからん』というだけで、プラスになることは皆無だ」。こう力を込め、両国政府に忍耐強い対話を求めた。
「日中関係の改善、発展のために尽くしたつもりだった」。伊藤忠商事相談役から初の民間出身の中国大使となった丹羽氏は、日中関係は夫婦以上に別れられない隣国関係だというのが持論。だが、2年前の赴任直後にも尖閣諸島沖での中国漁船と日本の巡視船の衝突事件に見舞われた。今の日中関係を「雨と風の時代」と表現する。その上で、「領土や主権の問題は一切妥協できないが、この状態が長く続くことは日中関係の利益にならない」と語り、前向きに何ができるかについて話し合うべきだと述べた。
具体的には、日中首脳の対話や文化交流などが次々に中止になっていることが問題だと指摘した。この1カ月間、中国の指導者に対し、青少年の交流だけは絶やしてはいけないと語りかけてきたと明かし、「1万人規模の交流を両首脳で合意して欲しい。こうした取り組みが氷を溶かし、国民感情が改善する契機になる」と訴えた。