2009年5月27日22時1分
世界の最先端レベルにある科学技術の研究を対象に、政府は助成先と助成額を首相直属の会議で決める方針を固めた。1件で数百億円の巨額助成も認める考えで、年度をまたいで自由に使えるようにする。思い切った支援で日本の産業競争力の中核を担う技術を育て、経済の活性化につなげたい思惑もある。
政府は09年度補正予算案に、最先端研究向けの研究助成費として過去最大規模の2700億円を盛り込んだ。文部科学省系の独立行政法人、日本学術振興会に創設する基金を通じ、首相が決めた30前後の研究に3〜5年かけて配分する。
財務省によると、科学研究費補助金(科研費)など特定の研究への国からの助成は、これまで最大でも年間3億円、3年間で10億円規模だった。今回は1件あたりの助成は数億〜数百億円になると見込んでいる。
毎年度の科学技術予算は、首相が議長を務め、学界や産業界などの代表者がメンバーとなっている総合科学技術会議で配分方針を決めている。今回は「横並び」を避けるため、従来の選考方法は踏襲せず、特定の研究に重点配分する。「政治主導」を前面に出したい考えだ。
補正予算と関連法案の成立を前提に、早ければ6月中にも個人や企業を含む研究者・研究機関から幅広く対象を公募する。まず、新たに選ぶ委員に総合科学技術会議の民間議員を加えた有識者会議で絞り込む。その意見を踏まえ、閣僚らの会議を開き、最終決定する方向だ。燃料電池や発電効率の高い太陽電池、人工多能性幹細胞(iPS細胞)など、環境や医療などの分野が助成の有力候補に上りそうだ。
政府は4月に決めた「経済危機対策」で、3年以内の景気回復と同時に、太陽光発電や医薬品開発など「低炭素」「健康長寿」分野の研究開発を強化する目標を掲げている。(山口博敬)