2009年6月20日18時37分
中小企業の支援策として東京都がつくった新銀行東京で、855億円の税金が失われ、民主党が7月の東京都議選で攻勢をかけている。都に銀行業務からの撤退を求め、経営再建を目指す石原慎太郎知事を支える与党との違いを際だたせる。与党は防戦に追われる一方だ。
「新銀行設立で都は役人の天下り先を確保しただけ。早く手を引いた方がいい」。民主党の現職都議は15日、大田区のJR蒲田駅前で訴えた。
「民主はNO、自民はYES」。民主党は都議選マニフェストの冒頭で、新銀行の自主清算を求めた。経営再建を目指す石原都政を批判して都議会で第1党になり、次の総選挙での政権交代につなげるというシナリオを描く。
だが、民主党にも負い目はある。04年の都議会。新銀行に都が1千億円を出す議案に賛成し、設立への道を開いた。別の都議からは「こんなことになるとは思わなかった」「監視が足りなかった」との声もあがる。
主要政党で唯一反対した共産党の現職は「融資を受けられた零細企業はほとんどない。多額の税金が水の泡になっただけだ」と批判する。新銀行は11年度に融資・保証額を3分の1に減らす再建計画を立てた。昨年度の新規融資・保証額473億円のうち、中小零細企業向けは半分以下の210億円だった。
「金利が高く、借りられたもんじゃない」。同党都議の集会に参加した大田区の印刷会社経営者(71)は語る。知人3人も融資申し込みを断られ、「だれのための新銀行だったのか」とため息をつく。
自民党は、くすぶる火種を避けている。現職都議は13日、JR蒲田駅や大森駅前でマイクを握った。約3時間の演説だったが新銀行にふれなかった。「再建は決まっている。争点にする必要はない」