2009年7月2日3時4分
麻生首相は1日、自民党内で反発の強い党役員人事を断念し、閣僚の補充人事だけを決めた。与謝野財務・金融相が兼務する経済財政相に林芳正・前防衛相を、佐藤総務相が兼務する国家公安委員長と沖縄・北方担当・防災相に林幹雄(もとお)・党幹事長代理を充てる。自民党内では人事をめぐる混乱を招いた首相への批判が高まっており、求心力の一層の低下は確実だ。
首相は1日夕、10年度予算の概算要求基準(シーリング)が決まったことから「一つの区切り。兼務を長いことお願いしていたので、補充はいつかやらねばいけないと思っていた」と記者団に説明。党役員人事については「私の口から『党役員人事をやる』という話は、ただの一度も一言も聞いた人はいない」と語った。
首相は総選挙を前に態勢を立て直すため、閣僚の兼務解消に加え、細田博之幹事長の交代を軸にした党役員人事を検討していた。だが、細田氏が所属する町村派をはじめ、党内の反発が予想以上に大きく、首相の後見人的存在である同派の森元首相も6月30日、首相との会談で党人事に難色を示していた。
首相側は、人事を週明けに先送りして調整を続けることも検討した。だが党内の混乱が深まるだけだと判断し、2閣僚の補充人事に絞って、1日に発表した。皇居での認証式は2日に行う。
林芳正氏は防衛相、林幹雄氏は国家公安委員長として、いずれも昨年8月に福田改造内閣で初入閣したが、福田前首相の突然の退陣で、在任期間は2カ月に満たなかった。林芳正氏の父は元蔵相の義郎氏、林幹雄氏の父は元環境庁長官の大幹氏。
首相は人事をバネに、12日投開票の東京都議選直後に衆院を解散し、8月2日か9日を投開票日とする日程を念頭に置いていたとみられる。しかし、自民党の圧力で人事権を行使できなかったことで、解散シナリオの練り直しを迫られることも予想される。一方、与党内では「長崎原爆の日」の8月9日を避け、前日の土曜日の8日を投開票日にする案も浮上している。
自民党内では総裁選前倒しを求めるなど、「麻生離れ」が加速している。5日投開票の静岡県知事選や都議選で与党が敗北すれば、「麻生首相で選挙は戦えない」との声が一気に広がる可能性が大きい。首相を支える主要派閥が見切りをつければ、首相が解散に踏み切れず、退陣に追い込まれる可能性もある。