■自民・安倍総裁
参院選特集ページはこちら1年前、安倍晋三はいまの自分の姿を思い描くことなどできなかった。一度は政権を投げ出した身だ。総裁選に再び挑戦する踏ん切りもつかず、母の洋子にも「負けたらもう立ち上がれない」と止められていた。
そんな安倍を勇気づけたのがネット上の「安倍待望論」だった。
「まさに暴挙。占拠している方が挑発的示威行動をとるとは、国際的にも極めて非常識な行為だ」
昨年8月10日、韓国の李明博(イミョンバク)大統領(当時)が島根県の竹島に上陸すると、安倍は自身のフェイスブック(FB)に投稿した。「半日で2万以上の『いいね!』がついた。若者の声が一番励みになった」。反響の大きさに自信を深めた。
昨年12月の衆院選で大勝し、首相に返り咲いた。就任後、首相官邸FBで計217回、自身のFBで計130回の発信をしてきた。1日平均1・8回(5日午後7時時点)。東京・富ケ谷の私邸でガラケーやiPadでFBに投稿することもしばしば。安倍は日本で初めての「ネット宰相」なのだ。
公示日の4日午前。福島駅前で第一声を終えると、早速、移動中の車からFBに「6年前の参院選の敗北によって『ねじれ』が生まれた。総裁であった私には日本を前に進めるため、勝ち抜く責任があります」。
2007年7月の参院選。安倍は惨敗し、最後は首相の座を降りた。そのトラウマは消えず、今でも「参院選は親の敵。取り戻さなければ死んでも死にきれない。生涯背負い続けていく十字架だ」と話す。今回、過半数を確保し、衆参ねじれを解消すれば長期政権も夢ではない。集団的自衛権の行使容認や憲法改正の悲願達成も現実味を増してくる。
ただ、高支持率の背景にあるのは、デフレ脱却や景気回復に対する国民の期待感だ。景気回復が実感できなければ国民の支持が離れるのは避けられない。秋には来年4月の消費増税の判断も迫る。首相周辺は「参院選後、今よりもずっと難しい政権運営が待ち構えている。勢いだけではもたない」と漏らす。
安倍は5日、徳島市で約500人を前に、自らを鼓舞するように絶叫した。
「昨年の今ごろを思い出して下さい。日本の暗く重い空気が変わったじゃありませんか。『いや安倍さん、実感ないよ』という人が多いことも知っている。地方は特にそう。だからこれからが正念場なんです」=敬称略(小野甲太郎)
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■生まれ:東京都
■出身校:成蹊大法学部卒
■家族:妻、母
■趣味:ゴルフ
■ネット力:フェイスブックのフォロー数37万3488人(5日午後7時現在)
■歩み
1993年 初当選
2003年 自民党幹事長
05年 内閣官房長官
06年 第90代首相就任
07年 体調不良を理由に首相辞任
12年 第96代首相就任
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朝日新聞官邸クラブ