■民主・海江田代表
参院選特集ページはこちら公示前日の3日、海江田万里は議員会館の自室で無心に筆を走らせた。
「浩然之気(こうぜんのき)」。孟子の言葉には、俗事から解放された屈託のない心境という意味がある。前夜、参院東京選挙区で2人の公認候補を一本化する苦渋の決断をしたばかり。今年4月、平野達男前復興相が離党した時は怒りを写経で鎮めたこともあった。
毛筆派の海江田は5月末、共産党委員長の志位和夫から「ツイッターを始めたよ」と言われた。「やらないわけにはいかないか」と観念。6月3日からフェイスブックを始めた。目玉は「今週の四字熟語」。最初に選んだのは「粉骨砕身」で「代表就任のときの決意を忘れず」と言葉を添えた。「浩然之気」の画像も掲載された。
昨年12月の衆院選大敗で政権から転落した民主党。海江田は代表に就任したが、いずれは次のリーダーに譲る「つなぎ役」のつもりだ。「競輪のように最後は2番手、3番手がゴールするものだ」と漏らす。
1月下旬、「靴底減らし運動」と銘打って全国行脚を開始。地方組織の人々と車座になって話し合い、ひたすら党内融和に努めた。これまでなかった党綱領も作り「道半ばだが、自分なりに党を立て直した」との自負も芽生えた。
野党第1党を争う日本維新の会は、橋下徹共同代表の従軍慰安婦をめぐる発言で失速。海江田は記者会見で「民主党への一時の大逆風はピタリと止まりつつある」と自信を見せた。だが、先月23日の東京都議選でよもやの大敗を喫する。
半年間の努力の結果がこれか。海江田は3日後、失意を振り払おうと東京・谷中の寺で座禅を組んだ。安倍晋三もたまに訪れる寺だ。警策の音が4度、境内に響き渡った。
参院選の結果次第では進退窮まる。だが、今の民主党には争う余裕もない――。旧知の赤松広隆は6月下旬、衆院副議長公邸に海江田を招き「何議席になっても『辞める』なんて言うなよ」と助言した。
海江田は6日、兵庫県西宮市で街頭に立った。
「一過性の打ち上げ花火で景気を良くしても、必ずどこかで破綻(はたん)する。アベノミクスは暮らしを破壊する」と訴え始めると、急に土砂降りになった。ぬれながら海江田は続けた。「与党時代の反省もあるけど経験もある。これは民主党だけ。自民党に対するもう一つの対立軸として育てていただきたい」=敬称略(斉藤太郎)
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■生まれ:東京都
■出身校:慶応大法学部卒
■家族:妻と長女
■趣味:漢詩、映画鑑賞
■ネット力:フェイスブックの「いいね!」 541(6日午後7時現在)
■歩み
1993年 初当選
96年 民主党結成に参加
2005年 落選
10年 菅内閣で経済財政担当相
11年 第2次菅内閣で経済産業相
12年 民主党代表に就任
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朝日新聞官邸クラブ