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「民主王国」三重に異変 張り付く岡田元副総理

写真:支持を訴える演説中、候補者の妻は聴衆に向かって深いお辞儀を繰り返した=4日、三重県亀山市、高橋雄大撮影拡大支持を訴える演説中、候補者の妻は聴衆に向かって深いお辞儀を繰り返した=4日、三重県亀山市、高橋雄大撮影

 【緒方雄大、永井啓吾】三重県に異変が起きている。これまで衆参の国政選挙で地元にほとんど戻らなかった民主党県連代表の岡田克也元副総理(59)が、県内に張り付いている。

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 「巨大与党のやりたい放題に歯止めをかけたい。自民党の暴走を止めるために民主党に力をください」

 公示日の4日、津駅前で演説した岡田氏は、いつもの落ち着いた口調から一転して声を張り上げた。民主現職の高橋千秋氏(56)と二人三脚で県内5カ所で演説し、1人だけで企業回りもした。

 翌5日の午前7時、岡田氏は高橋氏と一緒に松阪駅前に立っていた。「生の岡田さん初めてや」「テレビより顔小さいな」と驚く通行人に、岡田氏は歩道の柵の外側から身を乗り出し、声をかけて名刺を配った。「しっかり目が合うから、この位置の方がいいよね」

 それから、岡田氏は2カ所の出陣式に出て企業7社を回った。駅の売店に小走りし、自分でサンドイッチとコーヒーを買い、過去5回の参院選で民主候補の得票率が県内で最も低かった南伊勢町に向かった。

 「三重は勝てるかもしれない。みなさんが推薦はがきを何枚出せるかが勝負です。自分で書かずに、5人の推薦人に書いてもらってくださいね」。岡田氏は集まった約40人に丁寧に語りかけ、頭を下げた。

 その後も企業を訪ね、尾鷲市と御浜町で集会に参加した。この日の車の走行距離は約600キロに及んだ。

 岡田氏は今年に入り、週末ごとに県内に戻るようになった。「岡田氏がどぶ板選挙をしている」と驚かれるほどこまめに企業や支援者を回り、ミニ集会は250回を超える。握手の時に相手と目線を合わせる、5人以上が集まる朝礼には行く、企業回りで社員全員に声をかけるといったことを、陣営の地方議員や秘書らにもこと細かに指示している。

 岡田氏は言う。「民主に逆風が吹いてますからね。『民主政権は何もしてこなかった』と言われるから、こういうことをしてきたと訴えていきたい」

■自民攻勢、首相入りも調整

 「自民党が一番弱いのが、岩手県か三重県」

 自民新顔の吉川有美氏(39)や陣営幹部らがよく使う言葉だ。

 昨年末の衆院選圧勝の余勢を駆って、自民党は三重の参院議席奪還の好機とみて、11日に石破茂幹事長が県内に駆け付ける予定で、中盤以降には安倍晋三首相(党総裁)の三重入りも調整している。

 2007年以降の衆参比例区で県内では常に11万票台を取っている公明党は吉川氏を推薦するが、自民党が公約に掲げた憲法96条改正には警戒心がにじむ。

 「自民党が暴走することがあったら、あるいは右傾化に走ることがあったら、公明党は体を張ってブレーキをかける」

 6月30日夜、名張市であった自民党の集会で、公明党の石井政(ただし)・名張市議が声を強めると会場には緊張感が走った。続いて演台に立った川崎二郎・自民党県連会長(65)は苦笑いしながら「安倍さん、男性路線を行き過ぎているという話なんでしょう」と応じた。

 公示日の4日夜、吉川氏は津駅前の街頭演説で「まず何よりも経済。それに防災、女性の活躍する場を作る」と訴えたが、憲法にはいっさい触れなかった。

 「空中戦は北勢が重点になる」。川崎会長は安倍首相らの応援で無党派層の取り込みに期待するが、最も頼みとするのは県南部を中心とした従来の自民地盤だ。「私と田村(憲久厚生労働相)、三ツ矢(憲生衆院議員)がきちんと地元を固めれば、いけると思う」

 一方、共産と日本維新の会が擁立した2人は「アベノミクス」への批判を強める。共産新顔の中川民英氏(45)は「大企業の260兆円の内部留保の一部を取り崩して賃上げする」、維新新顔の深尾浩紹氏(50)は「株価は外国人投資家が手を引けば危うくなる。国の借金や社会保障制度などを誰が改革するのか」と街頭で訴えている。

     ◇

 〈「民自」対決〉 三重県は民主党代表や外相など要職を歴任した岡田克也元副総理の地元。民主党は、参院選では2000年補選から推薦候補も含めて5連勝中。今回は全国31の1人区で「勝てる可能性が最も高い選挙区」と期待をかける。自民党は引退した斎藤十朗元参院議長が最後に当選した1998年以来、15年ぶりの議席奪還を目指す。

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