■公明・山口那津男代表
【星野典久】「残念ながら、与党がんばれという風をみんな自民党が帆に受けて進もうとしている。しかし、舵(かじ)取りとバランスがとれないと日本はあらぬところに行ってしまう。連立政権に公明党がいなければダメなんです」
山口那津男は9日、新潟市の街頭演説で訴えた。安倍政権のブレーキ役の自負がにじむ。だが、自民党が大勝すれば存在感の低下は避けられない。それだけに演説にはこれまでにもまして熱がこもるのだ。
弁護士とあって、その弁舌は論理的で歯切れがいい。支持母体・創価学会中枢の経験はないが、婦人部の人気は絶大だ。立候補している東京選挙区で街頭に立てば、詰めかけた支持者から「なっちゃん」の声援。夏みかんをかたどった手製のうちわが揺れる。
ネット選挙が解禁されても山口は「ネットよりネットワーク」。組織固めが最優先だ。1996年の衆院選で落選し、5年間の浪人生活も経験した。「フランク永井が好きなんですが、ブランクも長いんです」は十八番の演説ネタだ。
公明党は99年、自民党と初めて連立を組んだ。平和の党を標榜(ひょうぼう)しながら、イラクの自衛隊派遣に同調。小泉純一郎首相の靖国神社参拝にはなすすべもなかった。昨年6月、消費増税を容認する自民党に合わせ、容認姿勢に転換した。
「下駄(げた)の雪」。自民党と連立して以来、公明党はそう揶揄(やゆ)されてきた。どんなに踏まれても下駄底についてくる雪のように、自民党に従うイメージからだ。
だが、山口にはいま、簡単には譲れないものがある。憲法だ。4月12日、96条を改正して改憲発議要件の緩和を目指す安倍晋三との会談で、山口は「憲法を言うより景気対策などやりかけたことをしっかりやり遂げてほしい」と迫った。
安倍が急ぐ集団的自衛権の行使容認も「かつての自民党政権は行使を認めてこなかった。なぜ変えるのか、国民に理解を得られない限り、断固反対する」と引かない構えだ。報道各社の情勢調査で自民党は圧勝の勢いだ。公明党幹部は「参院選後、自民党はおごり、タカ派の政策を進める可能性がある。今から牽制(けんせい)しておく必要がある」。
下駄の雪になるのか、それとも一途に主張するのか。山口は周囲に「下駄の雪と言いたいなら言わせておけばいい。私は言うべきことは言う」と漏らす。その真価が問われるのはそう遠くない。=敬称略
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■生まれ:茨城県那珂湊町(現ひたちなか市)
■出身校:東大法学部卒
■家族:妻と1女2男
■趣味:カメラ
■ネット力:FBの「いいね!」は4552件。ツイッターのフォロワー数は4771人(9日午後5時現在)
■歩み
1990年 衆院初当選
96年 3期目挑戦で落選
2001年 参院に初当選
08年 党政調会長就任
09年 党代表就任
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朝日新聞官邸クラブ