|
|
|
【染田屋竜太】21日投開票の参院選。朝日新聞の世論調査では「大いに関心がある」と答えた大阪府内の人は35%と前回(2010年、42%)と比べると大きく下回った。言うまでもなく、投票は有権者が持つ政治参加の機会。府内に住み、投票ができない3人に「投票する」ことについて、聞いた。
参院選特集ページはこちら■「行かないのは、自分の存在を消してるようなもの」
〈大阪市西成区の公園で暮らす長瀬茂さん(62)〉 タクシー運転手をしていた7年前、突然視力が落ちて仕事を失い、西成にきました。今は、畑仕事の手伝いと空き缶集めで収入は月4万円。食べるのに精いっぱいで、アパートに住むこともできない。住民票がなければ投票はできません。生活保護?体が動くうちはもらうつもりはない。
元気なときは投票を欠かしたことはなかった。自分の声で社会を動かせる最大の手段やから。行けない今、その重さを前よりも感じる。投票は自分の存在を示す大事な機会。権利やなくて義務やと思う。せやから、投票に行かないという若い人の考えがわかりません。自分で自分の存在を消しゴムで消しているようなもんですよ。
いつもラジオでニュースを聴いています。尖閣問題とか原発問題に関心がある。一番大事なのは格差問題やけどね。今回の選挙でも、この候補者がいい、この政党に入れたいとか考えますよ。権利をもらえたら、喜んで投票所に行く。
私の人生、選ぶ道を間違ったり、不運もあったりした。こないな生活をしているのは自分の責任です。でも、一つ言わせてもらえるなら「自分の一票では何も変わらない」なんて言わず、おっちゃんみたいな人間がいることを知って、堂々と一票を投じてほしい。
■「選挙権は当たり前のものではない」
〈日系ブラジル人2世の田中ルジア実也(みや)さん(56)〉 17年前、4歳だった双子の娘と日本に来ました。良い教育を受けさせたかった。必死に働き、借金もしたが、娘たちを大学に入れることができた。
ブラジルでは正当な理由なく投票しないと、罰金などの罰則があります。私たちは選挙を大切なものだと思っています。国籍はブラジルのままだから日本で選挙はできませんが、在外投票をするため、母国の選挙のたびに愛知県まで行って票を投じています。
1980年代まで長らく軍事政権が続いたブラジルで、国民は正当な選挙をすることができなかった。私も当時、デモに参加した。それでやっと国が動いた。民主的な選挙権は当たり前のものではないんです。
母国では今、公共交通機関の値上げで始まったデモが100万人にふくらみ、死者も出ている。国を変えるぞ、とみんな本気です。デモをしろとは言いません。せっかく選挙という場があるのだから、ちゃんと自分の意思を示すべきです。国を変える一部分に自分がなれる、めったにない機会なんです。
■「参政権を18歳以上にすべきだ」
〈豊中市に住む私立高校3年の富田健太郎さん(18)〉 元々政治には興味はありませんでした。でも今年3月、若者の政治への関心を高める活動をしている団体「僕らの一歩が日本を変える。」の催しで現職国会議員と直接話して考えが変わった。社会を変えられる政治家をすごく近い存在に感じました。
僕ら高校生が政治に興味を持つ機会は少ない。今の政治がどうとか、選挙ってなんなのかとか、考える暇はほとんどありません。政治のことを話す友達もいない。僕だって夏以降は受験に集中するつもりです。
若い人が選挙に行かないのに理由はある。でも、投票できる権利があるのに理由をつけて行かないのは、格好悪い。それは変えなきゃいけない。そのために、参政権を18歳以上にすべきだと思います。
僕らは、小学1年の時に週休2日制度が導入されたいわゆる「ゆとり世代」のど真ん中。周りから「ゆとり」と言われます。だからこそ、選挙権があれば「ゆとり世代のパワーを見せよう」って20代の人よりたくさんの同世代が選挙に行くんじゃないかな。
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞官邸クラブ