2009年9月23日20時46分
八ツ場ダム建設予定地を視察する前原誠司国交相(中央)。後方は建設が進む2号橋=23日午後、群馬県長野原町、細川卓撮影
地元自治体の代表らとの懇談で、頭を下げる前原国交相(左)=23日午後、群馬県長野原町、林敏行撮影
前原誠司国土交通相は23日、群馬県長野原町の八ツ場(やんば)ダム建設予定地を視察し、同県の大沢正明知事や地元町長らと意見交換した。建設中止の撤回を求める知事らに対し、前原国交相は撤回する考えはないことを改めて示した。水没予定地区の住民代表らは「中止ありきでは話はできない」として意見交換会への出席を拒んだ。
前原国交相は地元の合意がなければ中止の手続きを進めない考えをすでに示しており、今後も地元との話し合いを継続したいと語った。
ダム本体の建設予定地や、水没予定地区の住民の代替住宅地などを視察した後、大沢知事、長野原町の高山欣也町長ら8人と意見交換した。前原国交相は冒頭、「政権交代があったとはいえ、政策変更で皆さんに大きくご心労を煩わせ、ご迷惑をおかけしていることに、担当大臣として率直に心からおわびを申し上げたい」と陳謝した。
その上で、ダム中止の理由として、国交省が実施した洪水時の下流域の流量調査や水需要の現状などから、八ツ場ダムの必要性がきわめて低く、すでにあるダムで対応できる点を指摘。水没予定地の住民向け代替居住地の整備や付け替え道路の整備は継続するとした。
さらに、「ダムに頼らない治水対策、河川整備を進めたい」とした上で、「政策変更に単に従ってくれというつもりはない。みなさんの意見を虚心坦懐(きょしんたんかい)に拝聴し、法的な枠組みとしての、財政措置を含む補償措置を前提に実施していきたい」などと語った。
これに対し大沢知事は、「1都5県と協議をした上で今後の方針を決めていくべきだ」と中止の白紙撤回を要求。関係自治体との協議機関を設置するよう求めた。
地元住民との意見交換会では、水没予定の5地区の住民代表5人が、「まず『ダム中止』の御旗(みはた)を降ろして私たちのテーブルまで降りてきてください」などとする文書を読み上げ、退席した。(木村和規、歌野清一郎)
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〈八ツ場ダム〉 群馬県長野原町を流れる利根川の支流の吾妻川で1952年、洪水対策として計画が浮上。高度成長期に首都圏の水資源確保も目的に加わった。総事業費4600億円はダムとして国内最大。本体工事は未着工で、3200億円が鉄道や国道の移転費などに使われた。移転対象は470戸で、すでに357戸が移転済み。