北京で8月末に日朝外務省課長級協議が行われている最中、当時の松原仁・拉致問題相が拉致問題対策本部事務局員らを派遣して北朝鮮代表と非公式に接触させていたことについて、藤村修官房長官は5日の記者会見で「相談をいただいたが、中身については申し上げない」と述べ、首相官邸が事前に了承していたのかどうか明言を避けた。
藤村氏は非公式接触について「交渉ではなく情報収集。様々なチャンネルで情報収集するのは当然だ」と述べ、問題はないとの認識を示した。さらに「適切な体制で臨んだ。緊密な連携のもとで一元的に行われている」とし、外務省と拉致対策本部に足並みの乱れはなかったと強調した。
だが、複数の政府関係者によると、外務省と拉致対策本部の相互不信は深刻だった。外務省は8月末の課長級協議の際、拉致対策本部から事務局員を北京に送り込むのでいち早く協議結果を教えて欲しいと要請されたが、同じ飛行機やホテルを使うことを嫌がり、協議の詳細を伝えることも避けた。拉致対策本部も北朝鮮代表と接触を試みることを外務省に伝えず、日本代表の小野啓一・外務省北東アジア課長は同時並行で進む非公式ルートの存在を知らないまま北朝鮮代表との協議に臨んでいたという。