国への行政手続きを市民がインターネットで行う電子申請について、朝日新聞が64システムすべての利用状況と運用経費について調べたところ、昨年度、総申請数に占める電子申請の割合を示す利用率が10%に満たないシステムは3割あった。利用率1%未満のシステムは2割弱。ほぼすべて電子申請で行われていても、1件あたりの運用コストが1万円以上かかっていた割高なシステムもあった。
電子申請の運営経費として昨年度、219億円が計上されており、仮に利用率が10%を切るシステムを停止するだけで50億円を削減できる計算だ。予算の無駄削減に取り組む行政刷新会議は、11日からの「事業仕分け」の対象に「IT関連の調達費」を盛り込んでおり、電子申請も俎上(そじょう)にあがる見込みだ。
調査は、電子申請を導入している全官庁から(1)電子申請の利用件数と利用率(2)システムの開発費と年間の運営経費などを聞き取った。電子申請は、利用者の申請手続きの部分をオンライン化したもので、官庁側の人件費は含まれていない。
調査の結果、利用率は平均34%だったが、システムにより大きな偏りがあった。64システム中、20システムの利用率が10%未満で、うち10システムが1%未満だった。
64システムには1万3129の申請手続きが接続しており、政府はそのうち、国民に身近で申請も多い171手続きについて、各省に利用促進を指示している。ところが、4割を超える74の手続きが利用率1%未満。うち64が厚生労働省所管だった。
防衛省の55ある手続きは、この「政府促進」ではないが、情報公開申請の4件しか使われておらず、運営経費3366万円に対する1件当たりのコストは842万円になる。同省は今年3月でシステム全体を停止しており、電子申請から事実上、撤退した。