【モスクワ=副島英樹】ロシアと日本の有識者が歴史の共同研究に着手することが分かった。第2次世界大戦末期のソ連対日参戦など近現代史をめぐる日ロ間の歴史認識の溝を埋め、最大の懸案である領土問題の解決に向けた信頼醸成の環境づくりが狙い。共同で歴史の副読本をつくり、北海道やロシア極東など両国の学校で利用する構想が持ち上がっている。
歴史共同研究は、韓国、中国との間で始まっている。日ロ間では、92年に両国外務省が「日ロ間領土問題の歴史に関する共同作成資料集」を発表しているが、領土問題がネックになって今も平和条約が締結できないままで、歴史専門家らによる共同研究の必要性が指摘されてきた。
メドベージェフ大統領のシンクタンク・現代発展研究所と国際交流基金がイルクーツクで10月に非公開で共催した第6回日ロフォーラムで、共同歴史研究に着手する時期が来たとの認識で一致した。ロシア側窓口は「国家と法」研究所のスミルノフ政治学研究部長、日本側窓口は下斗米伸夫・法政大教授が務める。
副読本の作成から始め、北海道やサハリン、イルクーツクなどで使用して相互の世論の変化を追跡調査することなどが提案された。歴史認識が食い違う分野としては、北方領土問題の経緯▽45年のソ連対日参戦の正当性▽戦後の旧日本兵らのシベリア抑留▽18年の日本軍のシベリア出兵――などが想定される。
ロシア外務省高官は朝日新聞に対し、「我々の簡単ではない歴史で共通の理解と評価が得られるなら歓迎だ」と述べ、構想への支持を表明した。