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台所仕事 妻は「見ざる」が吉
愛知県豊田市の竹内良子さん(60)の庭では、水菜や春菊が収穫時だ。その日食べる分を採って置いておくと、夕方までには夫の博幸さん(66)があえ物にする。博幸さんはポテトサラダも作りお皿に盛る。庭仕事を終えた良子さんが魚や肉料理、汁物を作れば、同居する博幸さんの母親(91)も含め、3人分の夕飯の完成だ。
トヨタ自動車のシステムエンジニアだった博幸さん。退職するまで、台所に立つことは一切なかった。「まさに企業戦士。食べたものは食卓に残したまま、は当たり前だった」という良子さんは、調理師として働きながら、3人の娘の子育てや家事を担った。
だが博幸さんに退職直前の2010年、初期の肺がんが見つかり、手術と抗がん剤治療を受けた。良子さんは毎日、体に良いと聞いたニンジンジュースを作り、玄米を炊いた。博幸さんも体のため、と作り始めた。「最初はおっくうだった。ジューサーにしても片付けが大変。家事って大変だ、って」
一方、良子さんの父親のパーキンソン病の症状が悪化。介護のため、週の半分ほどを車で約1時間の実家で過ごすようになった。「洗濯機のボタンの押し方もわからなかった」という博幸さんが家事をすることになった。
包丁の使い方や調味の基本は、地域の男性向け料理教室で学んだ。とろろ汁、肉じゃが、ポテトサラダ、煮魚など、良子さんにも習って少しずつレパートリーを増やした。博幸さんは「調味料の加減でおいしくできる、とわかってくると、案外料理をするのがおっくうじゃなくなった」という。
良子さんは2年に及ぶ介護の末、昨年父をみとった。今も週末は母親(88)が暮らす実家と行き来し、夫と家事の分担も続ける。
良子さんなりの工夫もある。博幸さんが台所にいる時は、極力入らない。「見れば余計なことを言ってしまう。でも自分だって『ああしたら、こうしたら』と言われるのは嫌。見ないようにするには、いない方がいいんです」。今はお互いに高齢の親の世話もしながら、「定年前も今も同志みたいな感覚」と、良子さんは話す。
■助言受け 適度な距離感
現役時代の夫は早朝出かけて深夜に酔っ払って帰宅。子育てに参加せず、会話する時間もない。若い時は腹が立って実家に帰ったこともあります。5年前に退職する時、職場の先輩から「ずっと奥さんのそばにいたらだめ」と助言されたそうで、私が友達と旅行やランチに行くのには干渉しません。家事も夫なりにしてくれ、「こんな冗談を言う人だったんだ」と私も新鮮。旅行や温泉、散歩、と一緒の時間を楽しんでいます。 神奈川県 佐竹ケイ子さん(69)
■病気後 亭主関白が変身
4歳上の夫は典型的な「亭主関白」。共働きでしたが、家事を分担するという意識がなく、私もそれに疑問を持ちませんでした。ところが、夫が定年退職して数年後、心筋梗塞に。私もその後、病気になり、家事を全てするのが難しくなりました。今では、料理は私、洗濯は夫、と支え合っています。昔からすると驚くほどの変わりようです。でも本当は必要に迫られる前から、家事の分担について夫婦で考えておくべきだと思います。 東京都 女性(73)
■主婦だって「退職」したい
夫が退職したら、私も主婦業を「退職」し、家事を分担してもらいます。結婚して32年間、フルタイムやパートで働きながら、家事の一切を私がやってきました。3年前に大げんかし、「このままでは体力的にも心理的にももたない。別居も考えている」と伝えました。夫はびっくり。それ以来、休日のお昼ご飯作りや洗い物を少しずつ手伝ってくれるようになりました。私は春から英会話教室を開設。新しい挑戦が始まります。 埼玉県 古賀真弓さん(59)
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